苦い粉薬を飲めるように工夫してあげましょう
最終目標は、- 薬の必要性を説明し、納得した上で、苦くても飲む事。
- そして、食材などと混ぜず、そのまま水だけで服用出来るようになる事。
です。
しかし、小さな子どもにこれらを最初から強いることは難しく、必要性を考えた場合「なんとか工夫して飲ませる」ことが必要になってきます。
- まずは薬に馴れさせる事。
- 薬への警戒心をなくし、薬を飲めた達成感を感じさせる事。
- 薬を飲む事で体の不調がよくなることを実感させてあげる事。
まずはここからです。
今回は、そのために苦い薬を飲ませる際の基本事項の確認と、混ぜて飲ませやすい食材、飲み合わせ表のあるサイトの紹介をしたいと思います。
苦い粉薬を飲ませるための基本事項・注意点
1.毎回、必ず飲ませる直前に薬を調製する。作りおきはしない。
面倒だからとまとめて作らないこと。薬が変性することもありますし、量や種類を間違える原因にもなります。衛生的にもすすめられません。
必ず飲ませる直前に!
それから、ことこと煮る、冷凍庫で凍らせるなどの長時間極端な温度にさらすと、薬剤が変化を起こす可能性があります。薬剤師さんにその飲ませ方を指定された、などでない限り、私はおすすめしません。薬剤に変化が起こると、効果がないだけならばまだしも、違う作用を起こす可能性もあります。
2.主食やミルクに混ぜない
大切な食事やミルクの味が変わって、嫌いになってしまうことがあります。3.水・飲料や食品と混ぜる時には、総量を少なくする
「沢山のジュースに混ぜてしまえば、味がわからなくなるかも……」と、コップ一杯のジュースに混ぜてしまうと、全部飲みきれず残してしまう可能性があります。スプーン1、2杯程度に調製すると、味がよくわからないうちに全てを飲み終わります。
乳児であれば、極少量の水でペースト(というかだんご)状にし、上あごや頬の内側になすりつけます。(私の子どもが赤ちゃんの頃は、水飴やマルツエキスに練り込んで口の中になすりつけていました)
小さなスポイトがあれば、少量の水等の液体で溶かして口の中に入れてあげる方法もあります。
そして最後に口直しの水やジュースを沢山あげて、口の中の苦みを一掃させてあげましょう。
4.薬についてはきちんと説明する
どう工夫しても、普段と違うものを飲ませられれば、子どもは警戒します。- 今から飲むのは薬であること
- どうして薬が必要なのか
そう言った事を、幼い子どもであってもきちんと説明してあげましょう。
インフルエンザでタミフルを飲ませるのであれば、
「今、お風邪のバイキンが体の中にいるから、それをバイバイする薬だよ。頑張って飲んだら早く元気になるよ。そしたら一緒に遊ぼうね」
といったところでしょうか。
5.上手に飲めたら全力でほめる
フィードバックは大切です。ほめてもらえれば、「薬を飲む事はよいことである」ということを認識でき、次の服薬時に前向きに取り組んでもらえます。
全力で。
6.アレルギーには注意
「○○に混ぜるといいんだって!」と鵜呑みにして飲ませたものに、食物アレルギーになる物質が入っている可能性があります。後述するチョコアイスなども、乳製品が含まれるものがほとんどですから、ミルクアレルギーの子にはあげることができません。
また、離乳食中で、まだ試した事のない食材が含まれている場合も避けた方が無難です。
7.飲み合わせに注意
いくつかの薬は、食材との飲み合わせで効果が減弱したりするものがあります。有名なところでは、乳製品と一部の抗生剤など。
可能であれば一度薬剤師さんに確認をとるのがベストです。
くすりと食品の相互作用 | くすりの使い方 | くすりの適正使用協議会
こちらのサイトなどで、いくつか紹介をしてくれています。
8.満腹過ぎないタイミングで飲ませる
飲まない理由が「お腹いっぱいだから」ということもあります。薬は「食後投与」の指示を受けるものが多いですが、必ずしも食後でなければいけないわけではない薬も多くあります(服薬間隔や、飲み忘れを防ぐために食事を目安にしていることもあります)。
食前のお腹がすいているタイミングで飲ませるのも一つの手になります。
薬をもらう時に「食前に飲ませても大丈夫ですか?」と薬剤師さんに聞いておくと、服薬のタイミングを調節できるので便利です。
苦い粉薬と一緒に飲ませるおすすめの飲み物・食品は?
いろいろあるのですが、ある程度万能&活用しやすい2つを紹介します。
・服薬補助ゼリー
いろいろな味が出ていますが、後述する通り、苦い粉薬については「チョコレート味」が断然おすすめです。
龍角散
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口を直接つけなければ小分けにして使えますが、開封後は蓋をして冷蔵庫へ。ただ、このチョコレート味は3日しか保ちません……
ドラッグストアや子ども用品店などで販売されています。調剤薬局にも置いています。
- 粉薬以外にも使用できる。
- 上手に包み込めれば、かなり苦みなく飲める。
- 薬と食材の飲み合わせを考えなくていいから便利。
服薬補助ゼリーの短所
- 結構高い。
- 子どもがそもそもこのゼリーの味が嫌いなことがある。
- 開封後の消費期限が短い。
- コンビニに置いてなかったり、欲しい味が見つからなかったりする
一番の利点は、薬と食材の飲み合わせを考えなくてよい点ですね。
使いたいのであれば、買い置きをして家に1つ常備しておくとよいでしょう。
・チョコアイス・ココア・チョコレートシロップ
苦みについて、かなり万能なのは「チョコレート・ココア味」です。使いやすいのは、チョコアイス、ココア、チョコレートシロップ。
チョコレートシロップについては、服薬専用の商品も出ています。
森永製菓
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ただし、「乳」「大豆」アレルギーのある子には使えません! 要注意!
個人的には普通に食べる事もできるチョコレートシロップの方が便利と思います。
クラウンフーヅ
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チョコアイスも便利です。コンビニでもどこでも手軽に手に入ります、急病の時にもさっと買ってこれます(様々な食材が混じっていますので、食物アレルギーのある子には注意)。
スプーン一杯程度小皿にとり、粉薬と混ぜます。
包み込んで飲ませるのは難しいので、粉っぽさがなくなるように混ぜてしまった方が楽です。
飲み終わったら、口直しとご褒美に、薬を混ぜていないチョコアイスをあげましょう。
手元にココアパウダーがあれば、ココアを作ってあげるのもよいでしょう。
ここで簡単なココアペーストの作り方をご紹介。
- ココアパウダー1さじ+砂糖1さじを混ぜ、少量のお湯で溶く。
- 少し冷ましてから、薬と混ぜる。
これだけ! 純ココアであればアレルギーもカカオ以外心配ありません。
チョコアイス・ココア類の長所
- 手に入りやすい
- 安価
- アイスなどによって食物アレルギーの子どもには使えないことがある
- 夜には使いにくい(歯磨きの都合上)
- お腹を下している時には使いにくい
- 一部抗生剤と飲み合わせが悪い(アイスクリームのカルシウムの影響で効果が減弱する可能性があるので、長期に飲む場合は使わない方が無難)
・その他食材と飲み合わせ一覧表
- アイスクリーム(一部抗生剤の効果を減弱させる可能性あり)
- 蜂蜜(1歳以上)
- 練乳(チューブのものが便利)
- プリン(カラメルの苦みで薬の苦みが誤摩化せる)
- ヨーグルト(薬の種類によって苦みが増す事がある。一部抗生剤の効果を減弱させる可能性あり)
- ゼリー
- ジュース(酸性の物が多いので、薬の種類によって、かえって苦みが増す事がある)
- バナナ(pHが中性に近いので、薬の味を変えにくいので使いやすい)
- 黒蜜
- 牛乳(一部抗生剤の効果を減弱させる可能性あり)
などなど。
水飴やマルツエキスなども、赤ちゃんの口の中になすり付ける時に便利です(アレルギーの可能性も低い)。
ジュースに限って言うと、グレープフルーツジュースは相性の悪い薬がありますのでおすすめしません(まあ、そもそもグレープフレーツジュース自体苦いですし、好きな子は少ないと思いますが)
小児の薬と食品・飲料との飲み合わせの表はいくつかネット上でも見る事ができます。
薬剤師さんやクリニックごとに工夫していたりして面白い。
まとまっていたのをいくつかご紹介すると、
散剤と服用補助食品の飲み合わせ(味)一覧表
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tool/201002/514079.html処方せん豆知識 第55号 こどもの薬 ~飲ませ方と注意点~
http://www.alba-pharmacy.co.jp/main/mame/mame_0055.htm飯塚病院 くすりの豆知識|薬剤部(ここの「混合適否表」)
https://aih-net.com/yakuzaibu/kusurinomame/mame04.html
など。ですが、タミフルだけ見ても、薬につけてくれたミニパンフと違う……
味については主観も大きく、例えばpHなんかだけでは説明のつかない味の変化もあります。参考程度にどうぞ。
苦い粉薬を飲ませる確実な方法は存在しないのはなぜ?
薬の味については、薬ごとに苦みの種類が違い、一緒に飲んだり食べたりするものでも味が変化します。
そのため、「これが一番いい!」という方法はありません。
そもそも、「薬が苦い」と感じるかどうかというのは個人差があるので、それだけでも百点満点の方法はありません。
ですので、
「先人たちの知恵を生かしつつ」
「自分の子どもに合うやり方を探す」
これしかありません。
あなたのお子さんが、頑張って薬を飲めるようになることを心から応援しています。
(記事は下に続きます)
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