ノロウイルス等の嘔吐下痢症〜予防に手洗い・マスク・消毒を〜

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寒くなると流行する感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)ですが、原因はノロウイルスだけではありません。
しかし、感染力が強く消毒の難しいノロウイルスと仮定して、予防、消毒をするようにすれば、その他の嘔吐下痢症も概ねカバーできます。
というわけで、ノロウイルスの予防と、家族などが感染して嘔吐や下痢をした時の消毒方法についてお話します。

ノロウイルスについては、厚労省のQ&Aが非常によくまとめてくれてますので、そこを読んでもらうのが一番かと思います。


ノロウイルスの予防法〜とにかく手洗い〜

ノロウイルスは牡蠣などの食中毒で有名ですが、一番問題になるのは感染した人から他の人へ感染していくことで、寒い時期に流行します。
流行時期は、正直なところ「どこにノロウイルスが付着していてもおかしくない」状態だと思っているのが無難だと思います。
しかし、常に使い捨ての手袋をはめて生活するわけにもいきません(もし手袋をしていても、外す時に手に付着するでしょう)。
したがって、最も大切な予防法は「手洗い」です。



  • 帰宅時には確実に手洗い。
  • 公衆トイレなどを使用した際も丁寧に手洗い。
  • 食事の前にはしっかり手洗い。
  • 料理を作る前にももちろん手洗い。
  • とにかく思いついたら手洗い。

そして大切なのは、衛生学的手洗いをマスターすること


ノロウイルス予防のための衛生学手洗いのやり方とは?

sarayaの作っているものが比較的見やすかったので、どうぞ。(もっといい動画あれば教えてください)

https://youtu.be/xGGons00JXE

(東京都がガチャピンとムックでかわいらしい動画を作っているんですが、肝心の手洗いが不十分に見えるのが残念です)
厚労省の出しているポスターもどうぞ。プリントするならリンク先がpdfですのでそちらからお願いします。


「毎回こんなに面倒くさい手洗いなんてやってられない……!」
と思うかもしれませんが、慣れです
何回かやれば、ここまで時間をかけずにきちんと洗えます。
医療者が手洗いしている現場を見ると「一体どうしてそんなにゴシゴシ急いで洗ってるの?!」と思うかもしれません。
忙しいので時間短縮してしっかり洗うとああなります。
ちなみに短時間ですがしっかり洗えてます(短時間で洗う練習を、就職時にさせられました)。

ちなみに、石けんがなければ流水だけでも1/100にウイルス量を減らせます。
更に言うと、長時間かけるよりは短い時間の手洗いを2回する方がより効果的に洗う事も出来ます(参考:http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0800050496.pdf)。

しかしなんにしろ、動画にあるような方法でしっかり手指全部を洗えなくては意味がありません。
1に手洗い、2に手洗い。
みなさん、一度しっかり練習してみてください。


たまに自治体主催などで「手洗い講習会」が行われることがあります。
これは、汚れに見立てた蛍光塗料入りのローションを手に付けて、しっかり落とせるか……という練習をさせてくれたりします(他のやり方もあると思いますが、目に見えて面白い)。
もし市報などで見かけたら、一度参加してみてください。
自分がちゃんと洗えているかの確認にもなりますよ!


ノロウイルスの予防として、アルコールで消毒するだけじゃだめ?

アルコールなどによる手指の消毒は手洗いの代わりにはなりません。
手洗い後の消毒を否定するわけではありません。
他の感染症も含めてアルコール消毒するのは構いませんが、まずは「手洗い」これ重要。
CDCのガイドラインによると、アルコールでは完全にノロウイルスを不活化できるというわけではありませんが、補助的には効果がある可能性はあるようです。

by カエレバ
個人的に好きなゴージョー。病院のとは違うけど、市販もされていて、成分を見る限り内容は同じのようです(多分)。
CDCガイドラインによると、ノロウイルスに関してはプロパノールよりエタノールの方が効果がある可能性があるようなので、まあこういうのを使うのもありです。手も荒れにくいし。

ただ、あくまで「おまけ」と思ってください。アルコールには頼らないで。
まずは手洗い。あなたが手を動かすだけ。安いです。


ノロウイルスの予防としてのマスクの効果は?

外出先含め、とにかく手は口元に運ばないようにしましょう。いつ手に付着したかわかりませんよ。
飛沫感染の可能性も含め、ノロウイルスを含む感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)の流行時にはマスクの着用をお勧めします。
マスクがあれば、顔や口に手をやれなくなりますので、無意識にウイルスを口に運ぶことも防げます。
ノロウイルスの流行する時期は、インフルエンザなど他の感染症も同時に流行している時期になります。
マスクは是非箱で常備して、必要に応じてがんがん使うようにしましょう。
市販のマスクで十分です。もちろん使い捨てにしましょう。
by カエレバ
これは先ほどの手洗いの会社が出してるやつですが、なんでもどうぞ。
2歳の娘も、私や旦那がよく付けるからか、自分から付けたがります(まあ遊びはじめたら外しますし、正直役には立ってませんが、一応小さいサイズも常備してます。赤ちゃん用でなくとも、キッズサイズのもののゴムを少し結んで短くすれば使えます。まあリークは多いですが。赤ちゃん用のディスポは少ないので、ガーゼタイプを使い回すよりはマシです)。

ノロウイルス予防に食品やまな板などの消毒ってよく書かれているけれど……

家庭内に感染者もおらず、二枚貝などの食中毒を起こす食品を扱ったのでなければそこまで念入りな消毒は不要と考えます(ノロウイルスがいないのに消毒しても仕方がない、という意味です)。
(食品を扱う部署に関しては、会社からの通達に従ってきちんとした消毒をお願いします。ここでの解説は一般での家庭向けです)

牡蠣などの二枚貝からノロウイルスに感染する可能性はありますので、牡蠣などの食中毒を起こす危険な食品はしっかり加熱(85℃以上、1分半以上)は基本です。

また、キッチン用品も牡蠣などを扱った場合は消毒すべきです。
ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm以上)でしっかりと浸すようにしてから拭き取るか、煮沸消毒(85℃以上、1分以上)しましょう。
ちなみにキッチン泡ハイターは直接噴霧で1000ppm以上なので、キッチン用品に関しては確実で便利。
by カエレバ
頻繁に牡蠣などを食べたり、あとは感染者が家族内に出た後に調理するのが心配な場合に手軽に消毒できます。ケチらずしっかり浸すようにかけましょう。


予防だけで長くなったので、吐物や排泄物の処理や消毒についてはまた後日。
今年は流行が早くきているようです。ぜひ早めの対策を。


嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)についての知りたい方はこちらもどうぞ。
ノロウイルス等の嘔吐下痢症〜嘔吐時のホームケア1〜(脱水補正、経口補水液の作り方など)
ノロウイルス等の嘔吐下痢症〜予防に手洗い・マスク・消毒を〜
ノロウイルス等の嘔吐下痢症〜消毒と消毒液の作り方〜

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参考サイトなど

ノロウイルスに関するQ&A |厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

手洗いの時間・回数による効果(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000105095.pdf

Norovirus の代替指標として Feline Calicivirus を用いた 手洗いによるウイルス除去効果の検討

Norovirus | Preventing Norovirus Infection | CDC

Updated Norovirus Outbreak Management and Disease Prevention Guidelines

(記事は下に続きます)
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