あなたは麻疹のワクチンの接種の必要がある? ない? 診断ツール(医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版準拠)

麻疹ワクチンの接種の必要がある? ない? 診断ツール

最新のガイドラインである「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版」を元にした、麻疹のワクチンの接種の必要がある? ない? の簡単診断ツールです。

ガイドラインはこちらにありますので、原文を確認したい方はこちらからどうぞ。

医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版・第3版|日本環境感染学会

注意事項

  • 麻疹患者さんと接する可能性の高い医療関係者向けのガイドラインですので、その点ご承知おきください。
  • 簡単な解説をつけていますが、個別の事案につきましてはかかりつけの先生や接種をする医療機関にご相談ください。
  • また、今後ガイドラインが変更される可能性がありますので、現時点での診断ツールです。
  • 妊娠中の方・妊活中の方・妊娠の可能性のある方、ワクチン接種の接種不適当者、未就学児・乳幼児については一番下に付録として解説を書いていますのでご参照ください。

↓診断ここから↓

設問:麻疹ワクチンを2回接種した記録がありますか

1歳以上で麻疹を含むワクチン(麻しん単独ワクチン、麻しん風しん混合ワクチン・MRワクチン)を「2回」接種している記録がある。

母子手帳や医療機関での接種記録など、確実な「記録」があることを確認してください。親から聞いた、多分接種した、なにか接種した、というような「記憶」は1回とカウントしません。


→はい(麻疹のワクチンをこれ以上接種する必要はありません へ)

→いいえ(麻疹ワクチンを1回接種した記録がありますか へ)



設問:麻疹ワクチンを1回接種した記録がありますか

1歳以上で麻疹を含むワクチン(麻しん単独ワクチン、麻しん風しん混合ワクチン・MRワクチン)を「1回」接種している記録がある。

母子手帳や医療機関での接種記録など、確実な「記録」があることを確認してください。親から聞いた、多分接種した、なにか接種した、というような「記憶」は1回とカウントしません。


→はい(麻疹のワクチンを1回接種する必要があります へ)

→いいえ(麻疹に感染した記録がありますか へ)



設問:麻疹に感染した記録がありますか

これまでに麻疹に感染したという「記録」がある。

麻疹に感染したという検査結果等、確実な「記録」があることを確認してください。親から聞いた、昔かかった気がする、などの「記憶」はカウントしません。(皮膚のぶつぶつが出て高熱が出る疾患はたくさんあり、麻疹ではない可能性がありますので、確実な「記録」をご確認ください)


→はい(麻疹の抗体検査の必要があります へ)

→いいえ(麻疹のワクチンを2回接種する必要があります へ)



設問:麻疹の抗体検査の必要があります(検査後判定してください)

抗体の検査をする必要があります。

抗体検査を実施した結果、以下の設問にお答えください。



→検査結果が EIA 法(IgG)2.0 未満 ・PA 法 1:16 未満・中和法 1:4 未満 である

→検査結果が EIA 法(IgG)2.0〜16.0 未満・PA 法 1:16、1:32、1:64、1:128・中和法 1:4 である

→検査結果が EIA 法(IgG)16.0 以上 ・PA 法 1:256以上・中和法 1:8以上 である




診断結果:麻疹のワクチンを2回接種する必要があります

麻疹を含むワクチンを2回接種する必要があります。

少なくとも4週以上の間隔をあけ、2回ワクチンを接種してください。

検査結果や接種した記録をなくさないよう大切に保管してください。

お疲れ様でした。







診断結果:麻疹のワクチンを1回接種する必要があります

もう1回麻疹を含むワクチンを接種する必要があります。

1回目のワクチンから少なくとも4週以上あけ、もう1回ワクチンを接種してください。

検査結果や接種した記録をなくさないよう大切に保管してください。

お疲れ様でした。






診断結果:麻疹のワクチンをこれ以上接種する必要はありません

これ以上接種の必要はありません。検査結果や接種した記録をなくさないよう大切に保管しておいてください。

お疲れ様でした。







妊娠中・妊活中・妊娠の可能性のある方

妊娠中は麻疹のワクチンを接種することができません。麻疹のワクチンは生ワクチンのため、潜在的に胎児に感染する可能性があり、接種は原則として禁忌となっています。

出産後、麻疹のワクチンを必要回数接種するようにしてください(授乳中でも大丈夫です。出産時に輸血をされた場合は一定期間間隔をあける必要がありますので、接種する施設にご相談ください)。

MRワクチンは上記の理由のため、あらかじめ約1カ月間避妊した後接種する必要があります。また、ワクチン接種後約2カ月間は避妊の必要がありますのでご確認ください

もしMRワクチン接種後に、接種時に妊娠していることがわかった場合は下記の小児科学会の資料を参考にされてください。(ざっくり言いますと、ワクチン接種後に妊娠がわかった場合でも、ワクチンによる先天性風疹症候群を起こした報告はありませんので、人工中絶等を考慮する必要はありません。が、絶対起こさないというものではありませんので、避妊期間の確認をお願いいたします)


MRワクチンの接種不適当者は以下の通りです

(1)明らかな発熱を呈している者(明らかな発熱とは通常 37.5°C以上をいう)
(2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
(3)本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
(4)明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者
(5)妊娠していることが明らかな者
(6)上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

以上にあてはまる場合は現時点では接種ができません。(3)以外に関しては、それぞれの理由が解消してから接種することになります。

未就学児・乳幼児

未就学児・乳幼児に関しては以下の過去記事をご参照ください。

生後1歳(12か月)未満の麻しんワクチン・MRワクチン接種は可能か(2018年改訂)

1歳以上の第2期定期接種前の幼児にMRワクチン2回目接種は必要ですか? 麻疹(麻しん・はしか)Q&A

基本的には、

  • 新生児〜生後6ヶ月未満はワクチン接種できません。
  • 生後6ヶ月〜1歳未満は事情がある場合1回接種(ただし接種回数にはカウントせず、定期接種はそのまま接種する。合計3回接種)
  • 1歳〜年中さんは「1回接種」
  • 年長さん以降は「2回接種」

となります。


(記事は下に続きます)
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