最初に
この記事は決して母乳育児を否定するものでも、人工栄養育児を推奨するものでもありません。
母乳一滴には母乳一滴の価値があり、母乳育児には沢山の利点があります。
一方で様々な事情で人工栄養育児、混合栄養育児を行う人がいます。
どちらの味方、どちらの敵ではなく、あくまでも「液体ミルク」についてのお話であることをご了承ください。
国産液体ミルクが(今度こそ本当に)発売されます
さて、ついに国産の液体ミルクが解禁になってはや云カ月。
災害時に便利といった視点で進められてきた液体ミルクの国内生産解禁……のはずが、「高価になるから需要がない」他、メーカー側が足踏みをしている様子が報道されてかなりヤキモキしてましたが……
ついに!
出ます!
発売されます!
しかも3月11日に!
125mlで200円(税抜き)予定。粉ミルクユーザーにはおなじみのグリコのアイクレオ。
3.11、東日本大震災から8年。
その後も沢山の大きな災害が日本を襲いました。
その時に、母乳か粉ミルクしか飲めない赤ちゃん、そしてその母親、家族、大変な苦労を強いられます。
特に粉ミルクは、衛生上の観点から、
- 安全な水
- 70度以上に加熱できる熱源
- 哺乳瓶や紙コップなど飲ませるための清潔な容器
これらが最低限必要になります。安全なミルクを作るためには、粉ミルクを水に溶かすだけではいけないんですね。(こちらについては過去記事をどうぞ)
赤ちゃん用粉ミルクの中にいる「サカザキ菌」と調乳温度の話
これらを個人で防災用に準備するのは大変ですし、災害時に長期に渡って避難所で確保することができるとも限りません。
そのため、災害がある度に海外から支援を受けたり、議論の的になってきたのが「液体ミルク」になります。
特に直近の北海道での地震では、海外から輸入し、東京都で備蓄されていたものが送られたにも関わらず(様々な憶測も飛び交いましたが)、結果として使われなかったという経緯があります。
その原因として
「輸入品でよくわからない」
「使い慣れていないからよくわかない」
「使い方がよくわからない」
という「よくわからないものは使えない」という心理があったように推測できます。
液体ミルクは粉ミルクと違い、パッケージングの際に消毒が可能なので、加熱の必要がありません。
容器から哺乳瓶などの容器に出す、もしくは直接飲み口をつける(ディスポーザブル、使い捨ての乳首が海外の液体ミルクには存在します)だけで赤ちゃんに飲ませる事が可能です。
また、未開封であれば常温で長期保存が可能(今回国内からの発売予定分から言うと、紙パックのものは半年、缶入りのものは一年保存可能)である点も、非常に防災向きのものと言えるでしょう。
しかしこれまで、日本では液体ミルクの製造販売が認められていませんでした。そのため、もし液体ミルクが使いたかったら、海外から個人輸入するしかなかったのです。
しかし、液体ミルクは元々割高(国によりますが、ざっくりと1mlあたり2円くらい、調乳時のランニングコスト無視すれば粉ミルクの5倍程度)な上、輸送費が上乗せになるので、日本国内で気軽に使えるようや価格ではありません。
防災用にと独自に輸入して準備する自治体もありましが、前述したように「よくわからない」ために使われなかった残念な事例もありました。
以上から、国内での液体ミルクの製造販売が許可される事が、方々から期待されるようになり……すいません、つい長くなったんで端折りますが、パプコメ(パブリックコメント)その他いろいろ経て、ついに液体ミルク解禁! となりました!
が!
解禁になっても、メーカーさんが作る気になってくれないと誰も液体ミルクは作れないわけですよ……!
2018年の夏には解禁されたはずなのに、ちっとも音沙汰がない……と思ったら2018年秋にこんなニュース。
金にならんですと!"森永乳業や雪印メグミルクなどの大手メーカーも「現時点で製造の具体的な話は出ていない」と明かす。"— 相川晴(HAL) (@halproject00) November 11, 2018
えええー……
乳児用 液体ミルク 吸い口付けるだけ 災害時も活躍 国産があれば 国内製造・販売解禁も動きなし 原価高 メーカー慎重(日本農業新聞)https://t.co/1Ai23ZP4hM
誰やそんなん言うたんは!
災害時の備えだけにしか売れんとでも思うとるんか。
甘い!
いいですか、粉ミルクで育児したことある人ならわかるはずなんですよ。
3時間おきの授乳でフラフラになりながら、暗い夜中にお湯を沸かし、重い粉ミルクの缶を開け、中からスプーンでいっぱーい……にはーい……あれ、今何杯いれたっけ……いかん、さっぱりわからない、作り直し……熱いお湯を入れて火傷しかけ、それを冷やす間に泣く赤ちゃんの声に焦り……
これが毎日ですよ。
更には外出時です。粉ミルク、作って持っていけないので、小分けにした粉ミルク、お湯から冷ます用の水、哺乳回数分の哺乳瓶と飲み口! 想像してください、大荷物ですよ。
お湯を準備してくれる施設もあるじゃない?
そんなとこ、田舎だとね! イオンくらいしかねえんすよ! わかったか!(田舎暮らしの叫び)
とは言え、こんな私のか細い声が届くはずもないんですが、ツイッターでボソボソつぶやいてました。他にもあちこちでいろんな声があがってました。だよね、ですよね。
そんな声が聞こえたのかどうなのか、製造に着手してくれたのがグリコです。グリコありがとうありがとう、本当にありがとう。
というわけで、グリコのオンラインショップでは2019年3月5日にすでに発売が開始され、3月11日には一般販売が開始されます。
3.11。この日に間に合わせたのには多分いろいろな意味があると思っています。
大きな災害がある時、母親が無事とは限りません。母乳育児を頑張っていても、母乳をあげられない状況になるかもしれない。それは誰にもわかりません。
慣らすために母乳をやめろなんて言う気はもちろんなく、防災用に準備するか否かも人によって違って当然と思います。
ただ、もし液体ミルクを防災用に使いたいなと思う方は、例えば普段の粉ミルクをたまに液体ミルクに変えてみて、味などに慣れてもらうっていうのは大事と思います。アレルギー起こさないかも含めて、試す意味は必ずあります。
完母(完全母乳栄養)の方も、もし可能なら哺乳瓶にだけでも慣れさせておくと便利かもしれません。いつも直母(直接母乳を飲ませる事)に慣れていると、いざという時に哺乳瓶を受け付けない事はよくあります(月齢次第ではスプーンやストローも使えますよ)
いざという時に「よくわからない」ものは使いにくいです。それは当然の心理です。
今回の国産液体ミルクの製造販売の解禁、そしてグリコのアイクレオの液体ミルク発売、更には他社の缶入り液体ミルクの販売予定のニュース。私は大変嬉しい動きだと思っています。
そして、「よくわからない」を避けるためにも、災害時のみならず、例えば夜間の調乳、例えば外出時、うまく使える世の中になる事を期待しています。
私?
私は使う気満々ですよ。
とは言え、まだ産まれてませんし、私の母乳がどのくらい出るかも不明です(1人目は新生児期本当に出なくて出なくての混合栄養でした。途中で哺乳瓶拒否にあってしまい、泣きながら授乳したのはいい思い出……結果、3ヶ月ごろから完母でした)
が、パパも「俺だっておっぱい(ミルク)あげたい!」と言ってますし、私としても人に預ける時考えて、母乳寄りの混合にできたらなあと思ってますので、販売されたらとりあえず防災用も兼ねて購入してみますね。
まあ、その前に、出産頑張ります(ただいま臨月)
amazonで予約販売はじまってます。値段はグリコ公式のオンラインショップと同じなので、お急ぎでなければこちらでよいかも。
アイクレオ 赤ちゃんミルク 125ml×12本入り 常温で飲める液体ミルク 【0ヵ月から】
(記事は下に続きます)
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