麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方
2018年の流行を鑑みて、国立感染症研究所が「麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方」という方針を出しました。というわけで、それを基本にわかりやすく解説します。まず最初に、MRワクチンをうたなくて大丈夫な人と、うてない人をあげておきます。
MRワクチンうたなくても大丈夫な人
- 1歳以上で2回接種している記録がある人
- 「麻疹」と検査で診断された人
- 抗体価を検査して十分あることがわかっている人
1歳以上で2回接種していればOKです。ただし、記憶ではなく記録で確認してください。要するに母子手帳です(もしくは医療機関に直接問い合わせる)。
麻疹にかかった事がある人も接種の必要はありません。ただし、「麻疹になったと思う」という記憶はこれまた曖昧です。他の風疹などと勘違いしている事も多々あります。検査で診断をうけた人のみと考えてください。
あとは、麻疹抗体価の検査をうけて、「これだけ抗体があれば大丈夫ですよ」と判断された方もOKです。
MRワクチンを接種できない人
- 熱が出ている人
- 今急性の病気にかかっている人
- MRワクチンの成分でアナフィラキシーを起こした事がある人
- 免疫抑制状態など、免疫機能に問題がある人
- 妊婦さん
- その他医学的に予防接種を行うことが不適当な状態にある者
です。妊婦さんはどうしようもありません。それから、6ヶ月未満の赤ちゃんも一番下の項目にあてはまります。自分がどうだかわからない場合は、医療機関に直接お問い合わせください。
MRワクチン2回接種していない人は基本的に必要!
というわけで、その中でも最優先で可能な限り早めのMRワクチンを受けて欲しい人をあげていきます。定期接種対象者!
ここが基本です。ここでもれなく接種しておく事が大事。- 第1期定期接種対象者(1歳児)
- 第2期定期接種対象者(小学校入学前1年間の幼児:今年度6歳になる者)
1歳の誕生日のプレゼントに、MRワクチン。他にもうつべきワクチンはいろいろありますが、まずMRワクチンで問題ありません(同時接種もできます、かかりつけの先生と相談してね)
そして、就学前に免疫のプレゼントを。しかしよく忘れます。冬になると風邪をひいて、うち損ねたまま春を迎えて期限切れになったりしますので、是非春のうちに済ませましょう。
旅行に行く人!
1 か月以内に海外旅行・国内旅行を予定している人。そうです。本当は日本ではあまり麻疹の心配の無い排除状態なのですが、今まさに流行しています。飛行機で移動している時に隣に座った人が実は麻疹かもしれません。
抗体が血中に出るのに2週間かかるので、可能な限り 2 週間以上前に接種を済ませて欲しいところ。
しかし、直前でもうつ価値はあります(麻疹のウイルスが増えるよりも、ワクチン由来の抗体ができる方が早いので)。ただし、旅行直前 に接種する場合は、接種後 副反応で発熱や発疹などが出る事がありますので、5~14 日の体調変化には注意が必要です。
麻疹に感染した人と接触する可能性が高い人!
- 医療関係者(救急隊員、事務職員等を含む)
- 保育関係者
- 教育関係者
- 不特定多数の人と接触する職業に従事する人
医療関係、保育園や幼稚園関係、学校関係、そして沢山の人と接触する可能性が高い職業の人……って働いている人ほとんどやーん。と思いました。
観光業界も是非MRワクチンを接種してほしいですね。空港職員ももちろん。
近くで麻疹患者が出た場合の6ヶ月〜11ヶ月(1歳未満)の赤ちゃん!
今まさに沖縄がこの状態で、沖縄県全体で補助を出してワクチン接種を推進しています。国立感染症研究所の文書から引用すると、
麻疹患者と接触あるいは空間を共有した感受性者(生後 6 か月以上に限る)に対する緊急接種は、定期、 定期外に関わらず、速やかに検討する。 生後 6-11 か月で接種しても、第 1 期、第 2 期の定期接種は忘れずに接種する。(0 歳での接種は接種回数と してはカウントしない。)
です。1歳未満でのワクチン接種の話はこちらに詳しく書いているので参考にどうぞ。
生後1歳(12か月)未満の麻しんワクチン・MRワクチン接種は可能か(2018年改訂)
MRワクチンをうてない&麻疹にかかると危険な人の家族!
コレ大事、本当に大事。
本人が接種出来ない状況でも、本人を守る事ができます。周囲の人が抗体をつけて感染しないようにするだけで、本人が感染する可能性をぐっと下げる事が出来ます。繭の様に守るので、コクーン戦略と呼ばれます。
具体的には、
- 0歳児の家族
- 麻疹抗体価陰性あるいは低抗体価の妊婦の家族
- 麻疹抗体価陰性あるいは低抗体価の麻疹含有ワクチン接種不適当者の家族
定期接種を逃した2歳以上の子! 小学生中学生高校生大学生その他学生さん!
定期接種の期間に打ち忘れた人、うったかどうだかわからない人、これも接種が必要です。子どもも学生さんもみんな、わからなかったらうちましょう。合計2回です。1回では足りません。学校など集団生活をしていると、誰かが感染していた場合集団で感染を起こし、そこから流行が広がる可能性もあります。ぜひ。
1歳で定期接種でMRワクチンを接種して、まだ2回目の定期接種前の2〜5歳の子については、基本的には追加で2回目をうつ必要はありません。ただし、流行状況や身近で感染者が出た場合は状況に応じて接種をする必要がある事もあります。
これについても詳しく解説していますので、参考にどうぞ。
1歳以上の第2期定期接種前の幼児にMRワクチン2回目接種は必要ですか? 麻疹(麻しん・はしか)Q&A|33歳女医、やっと子どもができた頃
以上、感染拡大を防ぐために、急いでMRワクチンをうって欲しい人をまとめました(と言っても、まとめてくれてるのは国立感染症研究所お方ですが)
当てはまった方、是非お早めに接種をお願いします。
参考サイトなど
MRワクチン接種の考え方 国立感染症研究所
(記事は下に続きます)
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