インドネシア→熊本(八代市)の麻疹(はしか・麻しん)についてのまとめ 2017年4月




2017年4月28日に熊本県から麻疹(はしか・麻しん)患者さんの報告が発表されました。
春先から、山形石川県(金沢)新潟などで麻疹患者さんが報告されており、流行のきざしをみせています(去年の流行時よりも多くなるのではと懸念しています)

熊本県からのプレスリリースを元に解説を加えてまとめています。プレスリリースについては文末に参考サイトとしてリンクを張っていますのでご参照ください。

熊本県八代市の麻疹患者さんの経過と利用した施設名・利用した日時

30代男性 八代市在住
4月20日
鼻水などの症状(インドネシア滞在中)
4月23日
帰国(重度の風邪のような症状)
国際線の飛行機、タクシー、新幹線を使って八代市の自宅へ
4月25日
発熱→八代市の本田クリニック受診
4月27日
八代市の熊本総合病院受診→検査の結果、麻疹陽性


という経過で、以下に利用した交通機関及び医療機関をまとめておきます。
下記に書いてある時間帯に交通機関及び医療機関を利用した方は、麻疹に感染した可能性があります。麻疹ウイルスに対して抗体のない(感受性がある、と表現します)方は、ご注意ください。



<飛行機>
4月23日
1:30発 5:25着 Philippine Airlines PR538 (インドネシア空港→マニラ空港)
9:45発 14:30着 Philippine Airlines PR426  (マニラ空港→福岡空港)
<新幹線>
4月23日
16:15発 17:05着 「さくら415号」(博多駅→新八代駅)

(タクシー 福岡空港→博多駅、新八代駅→自宅)

<医療機関>
4月25日 9時頃受診
八代市 本田クリニック
4月27日 11時頃受診
八代市 独立行政法人 地域医療機能推進機構 熊本総合病院





もし感染していた場合はどのように発症するか

潜伏期間10〜12日程度を過ぎたのち、発熱、鼻汁(鼻水)、咳といった風邪のような症状や目の充血などの結膜炎の症状が2〜4日続きます。
その後、39℃を越えるような高熱と共に、発疹(皮疹・ぶつぶつ)が出ます。
麻疹の抗体の量が不十分な場合、上記より軽い経過をたどることがありますが、感染力があるため感染源となり得ますので注意が必要です(修飾麻疹といいます)。

5月3日頃から発症リスクがあります(感染から10〜12日後なので、4月27日に感染した場合は5月7日頃)。
交通機関や医療機関を上記の日時に利用した方で、風邪のような症状が出始めた場合は、麻疹の可能性があります。
医療機関を受診する際は、受診前に必ず電話で「麻疹の可能性がある」旨を連絡し、その後の対応について指示を仰いでください。公共の交通機関を利用して移動すると感染を拡大する危険がありますので、利用しないでください。


ゴールデンウィーク中に旅行先での発症も考えられます。
感染リスクのある方は、現地での医療機関受診の可能性もあるとお考えください。保険証など忘れずに。

麻疹はマスクでは防げません・ワクチンの接種を!

麻疹は、免疫があれば(抗体があれば)怖い病気ではありません。
過去は、「命定め」と呼ばれ、沢山の死者を出した感染症です。一定以上の年齢の方は感染を死の危険をおかしながら、感染してきました。
現在はワクチンの開発により、ワクチンを接種することで、自分の体で免疫を作ることが可能です。
麻しんワクチン・MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の2回接種が必要です!
昨年(2016年)の流行のあおりで、MRワクチンが品薄状態です。ワクチン接種歴不明の方、1回しか接種していない方(制度の問題で、20代〜40代は1回接種しかしていない空白の世代です)、未接種の方、ぜひ医療機関へ連絡し、予約をしてください。

こちらの記事も合わせてどうぞ「麻疹(はしか)はなぜ怖い〜感染力の強い麻疹とワクチンの話〜

熊本県ではMRワクチンの助成を行っています。ただし、風疹にまつわる助成になるので条件は厳しいです。これまでにワクチンを受けていない方は対象になる可能性が高いです。以下のページをぜひご参照ください。
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_5738.html


一般的なマスクでは感染を防げません。N95という特殊なマスクで感染のリスクを下げられる可能性はありますが、非常に苦しく、使い方も難しいです。


こういったもので、一般の方へはおすすめできません(詳しい話はこちらに書いています)。麻疹はマスクではなく、ワクチンで防ぐしかないとお考えください。
ワクチンを使って免疫をつけ、あなたの体の抗体で、あなたの体を守りましょう。
そして、あなたが感染しない事で、沢山の人を守る事ができます。
大切な人、ワクチンを使えない妊婦さん、赤ちゃん、免疫不全の患者さん……
あなたしか守る事ができません。あなたが、守る事ができます。
ぜひ、ワクチン接種をご検討ください。




参考サイト
インドネシアから帰国した麻しん(はしか)患者の発生について / 熊本県

http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_19541.html?type=top


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2016年流行時の麻疹の記事の一覧をおいておきます。
妊婦さんや1歳未満のお子さんのワクチンの話、麻疹についての基礎知識、ワクチンの話など、テーマ毎に書いています。
http://halproject01.blogspot.jp/2016/09/blog-post_11.html

(記事は下に続きます)
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