麻疹速報グラフ(国立感染研究所)39週(10/11更新分)を読む

国立感染研究所の麻疹速報グラフが更新されました。
39週とそれまでの集計で、2016年10月5日までの分です。
詳しいグラフはこちら。
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/diseases/measles/measles2016/meas16-39.pdf

1週間で6例増加しています。
かなり減りました!
が、2011年のグラフなどを見ると、一度流行してから今回の様に減少した後、また患者数が増加しています。
まだ国内感染が多いことを考えても、流行が終息してきている、と喜ぶのはまだ早いように思います。

さて詳細を見て行きます。

内訳は、東京2例、神奈川2例、大阪1例、静岡1例。
先週から気になっているんですが、神奈川がなあ……1例は海外(パキスタン・イスラム共和国)、1例が国内。詳細は神奈川県の感染症情報センターに書いています。
http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/003_center/03_center_main.htm
静岡も1例出ているようなんですが、静岡県の週報(https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-420a/documents/2016w39.pdf)には記載がないんですよね。これはよくわかりません。取り下げたのかな。
兵庫と千葉が0なのは嬉しいですね。このままおさまってほしい。大阪・東京は人口が多いこともあり、まだまだ注意が必要。




予防接種歴も出ています。
今年に入ってからの集計になりますが、接種なし40人、不明48人、接種1回38人、接種2回19人。(予防接種をしているのに感染している人がいる理由はこちらをどうぞ。「麻疹のワクチン(予防接種)を受けていても感染・発症するのはなぜか」)。
接種無しが当然ながら多いです。それに不明。接種歴のある人と大差ないように見えるかもしれませんが、圧倒的に多いと思ってもらって結構です(統計トリック〜麻疹のワクチン(予防接種)を受けている人の方が感染者が多くなる?!〜)。


年齢内訳は、20〜29歳が37%、続いて30〜39歳が23%と、20代後半〜30代の感染者が6割を占めています。これは報道などでも何度もとりあえげられた通り、予防接種制度の問題で、1回接種が多い世代です。
今回の麻疹騒動で、随分この世代の接種率が上がっているのではないかと思います(調査がないので確認の仕様がありませんが)。今後の流行の懸念も考え、是非予防接種歴を確認し、特に予防接種歴がない方、不明の方は積極的に医療機関にお問い合わせください。今回だけではなく、今後、麻疹・風疹が流行した場合にも役立ちます。


マスコミは完全に飽きたんだなあという感じで、報道なくなりましたね。
遺伝子型を見ると、関空由来のH1は減少し(とは言え、大阪で散発で出ている国内感染の麻疹はH1なので、関空の集団感染のものではないかと思うのですが……)、恐らく千葉で流行していたD8が東京・神奈川で出ているのかなと思います(感染経路が報道もないので憶測ですが)。
それでも患者数が減っているのは素晴らしい事で、皆さんの絶え間ない予防接種の努力の結果に違いありません。ただ、まだ国内感染が0に近付くまで注視しましょう。

麻疹情報まとめのページに、各自治体の麻疹情報を発信しているサイトをまとめています。自分の住む都道府県の情報がわからない方は参考にされてください。


その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。

(記事は下に続きます)
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