時々「副反応(副作用)が怖いから、うちはワクチンをうちません」という保護者の方がいらっしゃいます。
しかし、よく考えてください。副反応の確率と、実際に感染した場合に症状が出る確率、どのくらい差があるがご存知ですか?
今回、麻疹(はしか・麻しん)を例に挙げて、解説してみようと思います。
北里第一三共ワクチン株式会社のワクチンの基礎知識のページに、とてもわかりやすい表がありましたので、引用させていただきます。(実際のページはhttp://www.daiichisankyo-kv.co.jp/knowledge/sick/v_measles.html)
麻しん生ワクチンの接種で報告されている副反応の頻度と自然感染の合併症の頻度を比較したものが下表です。440万例から割り出したものなので、かなり質の高いデータだと思います。
出庫数440万dose(1994年~2008年)
自然感染 麻しん生ワクチン接種後 発熱 ほぼ100% 10~20%(5~7日頃) 発疹 ほぼ100% 5~10%(7~10日頃) 脳炎 1/1,000~2,000 2例 SSPE 8.5/100万 - その他 中耳炎 7~9%
肺炎 1~6%血小板減少症 5例(※1)
VAHS(ウイルス関連血球貧食症候群) 2例
急性片麻痺 1例(※2)
Toxic Shock Syndrome 1例
・Vaccines Third Edition Measles Vaccine pp222-266 1999より
・北里研究所所内データ
- ※1 RT-PCRの結果2例に麻しんウイルス野生株遺伝子が検出された
- ※2 もやもや病
麻疹に必ず起こる発熱、発疹に対し、麻疹の生ワクチンの副反応は1割程度です。
死亡例もある合併症も、麻疹に自然感染した時とワクチン接種後で比較してみてください。
脳炎は副反応としては2例(440万例中)ですが、自然感染では1000人から2000人に一人起こります。
SSPE(亜急性硬化性全脳炎・麻疹の非常に恐ろしい合併症で、感染後数年してから様々な神経症状を起こし、最終的に死に至る治療法が確立されていない病気)にいたっては、自然感染では100万人に8.5人の割合で起こるのに対し、副反応では0例です。
いくつか特異的な副反応もありますが、発生件数の少なさにご注目ください。
もちろん重篤なものに関しては決して無視することはできませんし、留意する必要がありますが、麻疹に自然感染した場合に、重症化したり、SSPEをひきおこす危険性から考えれば、非常に小さなものである、と私は考えます。
ちなみにうちの子どもは、MRワクチンで見事に発疹が出ました。全身にうすいブツブツが広がり、1週間程度で自然に薄れていきました。それだけでした。
その程度です。その程度で、麻疹を防げるんです。
本来の効果に目を向けずに、副反応があることだけに注目するのは、非常にもったいない事です。
例えば、「食物アレルギーが起こるとこわいから」と、水しか飲まない生活をするのと同じようなものです。
食物アレルギーは、そもそも起きない可能性の方が高く、食べ物から摂れる素晴らしい様々な栄養素のことを無視するのは間違っていると思いませんか?
どうか「副反応があるから」と二の足を踏んでいる保護者の方。
その子を守れるのは、あなたに他なりません。
正しい知識があれば、本当に怖い物がきちんと見えてくると思います。
インターネットは間違った偏った知識も溢れています。心配な事があれば、かかりつけの病院できちんと相談してみてください。きちんとワクチンがうてるように、親身になって答えてもらえると思います。
どうか麻疹が流行しませんように。
そのために、免疫が十分でない人が、一人でも多く、ワクチンを接種してくれますように。
(記事は下に続きます)
スポンサードリンク
(もし記事を読んで、「役に立った。よし、これ書いたやつにコーヒー1杯くらいおごってやろうか」などと思ってくださった方や、金はかけたくないけど支援する方法があるなら……と思った方は、noteからサポートなどしていただけたら幸いです。シェアも大歓迎です)
スポンサードリンク