- 感染を防ぐ(もしくは発症を防ぐ)
- 感染して発症しても重症化を防ぐ
- 流行を防ぐ(集団免疫)
という3点に集約されます。
ですので、それぞれの効果が高く(例えば接種してもほとんど免疫がつかないワクチンや、抗体ができても感染も重症化も防げないようなワクチンも意味がない)、かつその効果(メリット)が副反応などのデメリットを差し引いてもありあまるほどであるもの(免疫がいかについたとしても、接種した人の1%が副反応で死亡する、などというワクチンでは恐ろしくて使えない)が、「ワクチン」として流通している、ということになります。
1.や2.のワクチンを接種した人自身のメリットはわかりやすいと思いますが、3番目の「集団免疫」については、知識のない方にはピンと来ないかもしれません。
別ブログで麻疹や風疹についての記事でもちらりと書きましたが、簡単に説明します。
まず集団の中に感染者が1人、ぽつんといたとします。
この人が、免疫のない人に感染させることができる人の数を「基本再生産数」といいます。
これが大きければ大きいほど、感染力が強いと言えます。
ところが、この集団に免疫のある人が沢山いたらどうなるでしょう。
一定以上の人が免疫を持っていれば、感染症の流行を防ぐことができます。
この感染症の流行を防ぐことができる集団中の免疫を持つ人の割合を「集団免疫率」と言います。
つまり、前もって、集団に免疫を作る=免疫を持たない人にワクチンを接種し、必要な「集団免疫率」を越えるだけの免疫をつけることができれば、この集団では感染症は流行しません。収束します。
集団というとわかりにくいので、例えば「家族」「学校」「会社」「県」「日本」「世界」……などと置き換えてみてください。具体的に想像ができたでしょうか。
この集団免疫の効果というのは、偉大です。
例えばワクチンをうつことができない赤ちゃんを守れます。
うまれつき免疫がつかない人、免疫力が弱ってしまった人を守れます。
ワクチンをうつことができない妊婦さんとその胎児を守れます。
病気にかかることなく、沢山の人を守れます。
あなた一人の問題ではないのです。
あなたの大切な人を守れるのです。
ここでこんなニュースをご紹介。
米国の麻疹流行、ワクチン拒否で拍車(2016.3.24掲載) http://healthdayjapan.com/2016/03/25/6716/
いわゆる「ワクチン反対派」の人の力により、麻疹の流行に拍車がかかった、という笑えない記事です。
ワクチン反対派の方々は、自分の信条がどれだけの人に迷惑をかけるか、ということには気が回らない様子。
自分や、自分の子どもへワクチンを打たなくても感染を起こさないのは、周囲の人々の絶え間ない努力があるからこそ守られている、という事実を、どうか知っていていただきたいのです。
どうかワクチン拒否をしている方、子どもへワクチンをうたせない方針のお母さん、一度「SSPE」というものを検索してください。ご存知でしたか? それでもあなたは、麻疹のワクチンをお子さんに打たないとおっしゃいますか?
この集団免疫について「ワクチンをうたないと集団免疫にならないなんて誇大広告だ」などというトンデモ記事を見かけました。この記事を書いた方は、どうやら感染症の恐ろしさをご存じないらしい。
もし感染した人の半数が死亡するような感染症であったとしても、同じ事を言えるのでしょうか?
感染症が広まれば、ワクチンがなくともどこかの時点で集団免疫は得られ、頭打ちになるでしょう。そのために、多くの人が犠牲になります。
ワクチンをうつことで、「後遺症を残すような重症者や、死亡する人を出す事なく、集団免疫の効果を得る事ができる」ということがわからないのであれば、与太話を広めるのはやめてほしいと本気で思います。
その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。
(記事は下に続きます)
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