市販のベビーフードで大豆の誤嚥……豆・ナッツ類を乳幼児にあげる時にはご注意を!

今回はベビーフードの誤嚥のニュースと、豆・ナッツ類の危険性と食べさせる注意事項などをまとめています。
離乳食をあげている方、これからの方、離乳食は終わったけれど幼いお子さんがいらっしゃる方、よろしければ流し読みで構わないので目を通していただきたいなと思います。

また、節分の時期になると、「縁起物だから」と幼い子どもに食べさせようとする人が必ず出てきます。縁起物を食べたがために、誤嚥して入院することになっては意味がありません。
食べさせるなら、固い物を丸ごとあげてはいけません。記事内に食べさせる際の注意点を書いていますので、参考にされてください。

ベビーフードで大豆の誤嚥事故


以前から気になっていたんですが、ベビーフードって結構豆が入っているんですよね。それも月齢が結構低い9か月頃からのものでも、ごろっと丸ごと(薄皮は剥けているけど、カットをしていないもの)入っています。
これ、誤嚥しないかなあ……とヒヤヒヤしながらあげていたんですが……
やはり、誤嚥事故が起きていました。

Injury Alert(傷害速報)|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

↑これは日本小児科学会が一般向けに子どもに起きた傷害を報告しているページ。様々な事故などによる子どもの傷害を防ぐ啓蒙のために、詳しい内容が記載されていて、一般の方には少しわかりにくいのでは、と思わないでもないですが、非常に勉強になります。
リンク先は、前述した大豆の誤嚥の症例が書かれています。

専門用語が多いのでわかりにくいかと思いますので、専門用語をとっぱらって、かいつまんで説明します。



10か月の赤ちゃんに、市販のベビーフード(大豆と肉入りシチュー、9か月〜)をあげていたところ、突然泣き出して真っ青になった。父親が逆さまにして背中を叩いたところ、固形物を吐き出した。病院受診して検査をしたけれど、その際は気道に異物がなく、状態もよかったので帰宅した。
ところが帰宅後発熱、多呼吸などの症状が出たので翌朝救急を再診。
状態が悪化していたので大豆の誤嚥と化学性肺炎を疑われ、入院。検査&治療(最終的には人工呼吸が必要な段階まで達しています)の結果、大豆片がいくつも出て来た。2週間ほどで退院。

といった経過です。

小児の誤嚥(間違って飲み込む「誤飲」ではなく、間違って気道に吸い込むのが「誤嚥」です)で、代表的なものは、「豆・ナッツ類」です。ピーナッツが比較的有名と思います。
大豆もその例にもれません。さすがに1歳に満たない赤ちゃんに、節分の硬い豆を食べさせる人はいない(多分)と思いますが、今回はベビーフード(しかも月齢相当のもの)です。

豆・ナッツ類と小児の誤嚥の関係〜何故起きやすいのか、何故危険なのか〜


何故豆・ナッツ類が誤嚥されやすいかというと、硬い&丸いため、奥歯のない赤ちゃんにはかみつぶすことがなかなかできません。
歯茎で噛んでも、丸みを帯びていて硬いものである場合、つるっと喉の奥に飛んでしまうことがあります。
特に薄皮を剥いていないものだと、薄皮を噛んだ時に喉の奥に飛びます。
突然喉に物が飛び込むと、間違って吸い込むことがあります。これが原因の一つ。

もう一つは、やはり硬くて飲み込みにくいために、口の中に残りっぱなしになることがあります。
この状態で、なにか驚くようなことがあったり、泣いたり、笑ったりということをすると、すっと吸い込んで誤嚥してしまいます。これも原因の一つです。

こういったことで誤嚥が起こると、今回の大豆のサイズであれば気道閉塞を引き起こして、肺に空気が入らない状態になりえます。
また、豆類は非常に気管支を見るカメラを使って異物除去をするのが難しいのです。
とりだすピンセットのようなものでつかむと崩れてしまって、くずれたものが肺の奥に入って、これが化学性の肺炎を引き起こしてしまいます。

このように、豆の誤嚥というのは非常に厄介な代物です。

豆類を乳幼児にあげる時の注意点


  • まず「硬い豆は乳幼児にはあげない」のが鉄則です。
  • 柔らかく煮た豆であっても、今回のような事例は起こりえます。ですので、まず食事中に泣いたり、笑ったり、口に入れたまま走り回ったりというようなことが起きないように「ながら食い」に注意をします。また、親も突然肩を叩いて振り向かせたりといったような驚かせるようなことはしないように注意が必要です。
  • 豆入りのベビーフードの場合、旅行中などに車や飛行機などで移動している最中にはあげないことも大切です(突然揺れることで誤嚥につながります)。
  • 調理した豆をあげる場合は、カットしたり、軽く潰した状態で与える方が無難です。少なくとも薄皮はむいてあげましょう。
  • 子供に「丸呑みしないで、きちんと歯で噛んで食べようね」という事も教えてあげましょう。
いつまで注意が必要かというと、3歳頃になると乳歯が生え揃い、徐々に硬い豆も食べることができるようになりますが、あくまで目安です(日本性に呼吸器学会の「小児の気道異物事故予防ならびに対応」によると、「3歳まで与えないでください」とされています))。
アメリカでのピーナッツアレルギー予防についてのガイドラインの話で紹介したAAP(アメリカ小児科学会)のガイドラインには、

  • 5歳未満の子どもには、丸ごとのナッツをあげてはいけない
  • 4歳未満の子どもには、ピーナッツバターをスプーンから直接、もしくは塊状のものをあげてはいけない
と書いているくらいなので、注意しても注意しすぎることはない、と思って頂けたらと思います。

食べている時は座って食べる、おしゃべりしない……こういったことは礼儀作法と思われがちですが、それだけではなく、子どもを守るために必要なのです。

栄養もあり、食べさせてあげたい「豆類」、上手に安全に食べさせてあげてくださいね。



(それとは別に、個人的にベビーフードの会社には、ぜひ「豆類の誤嚥の可能性についての注意喚起」及び、できれば「豆類はカットして加工する」などといった対応を行ってもらいたいな、と思います。
今回の問題のベビーフードの会社、うちもよく使っています(ミルクアレルギー疑いなので、これは使用したことがありませんが)。他の会社でも勿論同じようなことが起こる可能性があると思いますし、一般の方々への啓蒙も含めて、なんらかの対策をとってもらえたらなあ……。)

(記事は下に続きます)
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