液体ミルクの上手な使い方と注意事項

最初に

この記事は、母乳育児を否定するものではありません。母乳一滴には母乳一滴の価値があり、それはなにものにも変えがたい素晴らしいものです。母乳育児には様々な利点があります。
一方で、様々な事情から人工栄養育児(ミルク育児)、混合栄養育児を行うことがあります。
今回は母乳とミルクどちらがいいとか悪いという内容ではなく、「液体ミルク」自体の上手な使い方と注意点について書いた記事になりますのでご了承ください。



国産の液体ミルクがついに発売されます

グリコからアイクレオの液体ミルク、ICREO アイクレオ赤ちゃんミルクがついに発売されます。



それにあたり、2019年3月現在わかっている範囲での上手な使い方と注意事項について簡単にまとめておこうと思います。



液体ミルクの利点と欠点

液体ミルクには利点と欠点があります。

液体ミルクの利点

  • 調乳の必要がない(粉のミルクを量って、安全な水を確保し、70℃以上のお湯を準備して、人肌まで冷やして……ということをしなくてよい)
  • 滅菌済みなので粉ミルクのように70度以上まで加熱する必要がない
  • 栄養は粉ミルクと同等

液体ミルクの欠点

  • 量が決まっているので無駄が出る
  • 値段が粉ミルクより高い

といったところでしょうか。

値段については、諸外国の液体ミルクと比べて特別高いということはありません。
比較として、一般向けの市販用メイバランス(病気の時などにつかう流動食)が125mlで200円程度です。いろいろと栄養を考えた、赤ちゃん用ミルクと似た大人用のミルク……といえばわかりやすいでしょうか(いろいろな味があります)。それと比較して考えても、まあ妥当な値段じゃないかなと思います。


確かに粉ミルクよりは高いんですが、例えばお湯を準備する電気代やガス代、人件費も考慮すると異常に高価とは私は思いません。(実は調乳って大変なんですよ……)
ただ、赤ちゃんは授乳回数も多いですし、普段は粉ミルクを使い、必要時だけ液体ミルクを使う、というのが現実的な使い方になるかなと思います。

(ちなみにメイバランスは医療関係者には非常に馴染みがある商品で、明治が作っています。製品としては液体ミルクに近いんですよね。そういう意味でも、グリコのアイクレオに続いて明治が「ほほえみ」の液体ミルク発売予定なのは、さもありなんといった感想です。現在は240mlのスチール缶タイプが予定されています。)

液体ミルクをどんな時に使うといいか? 上手な使い方

これは個人差があると思いますが、利点と欠点から考えますと、

防災用に

常温で長期保存ができますし、調乳の必要がないので、防災用の備蓄に便利です。(万が一の時には赤ちゃんだけじゃなくて大人も飲める)
紙パックのグリコ「アイクレオ」は半年、スチール缶の明治「ほほえみ」は一年の保存ができます(予定)。
特に被災地では、粉ミルクを調乳するめの安全な水、70℃以上まで加熱するための熱源、清潔な容器の確保など非常に困難です。その点、うつしかえるだけで使える液体ミルクは大変便利です。(いざとなれば紙コップで授乳が可能です)

母乳が足りない時に(粉ミルクがわりに)

粉ミルクと同じ栄養がありますので、粉ミルク代わりに使えます。ただちょっと高いけど。

お出かけの時に

お出かけの時に粉ミルクで調乳しようと思うと大量の荷物が必要になります。液体ミルクなら荷物の量が減りますので、負担がかなり軽減されます。

母親が病気や服薬で授乳できない時に

病気や服薬の都合で一時的に授乳できない場合にも使えます。(授乳しながら使うことができる薬も多くありますので、まずはご相談ください)

夜間の授乳に

夜間の授乳は保育者にとってかなり負担が大きいです……というわけで、ここは個人的におすすめポイントです。調乳の手間がないので、液体ミルク活躍します。
母乳があげれないパパもぜひ。ここ、活躍時です

誰かに赤ちゃんを預ける時に

普段あまり育児をしていない人に預ける時、粉ミルクの調乳方法を教えるのは結構大変ですし、荷物もかさばります。液体ミルクなら「ここから○ml出して飲ませてね」と簡単に伝えることができますし、衛生的で安心かなと。





液体ミルクを使用する際の注意事項

さて、このように便利な液体ミルクなのですが、今現在考えられる注意事項をいくつかあげておこうと思います。

液体ミルク買う時に確認してほしいこと


画像引用元 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/health_promotion_190304_0003.pdf

今後様々な会社が製造を開始することが予想されますが、大切な赤ちゃんにあげるものなので、購入したら上記の「特別用途食品マーク」がついていることを確認してください(今後、安い、一見液体ミルクに見えるけれどもきちんと条件を満たしていないコピー商品が出てくる可能性があります。ないといいのですが)

2019年3月9日現在製造販売が許可されているのは、グリコと明治のみです。今後増えてくると予想されますが、念のためご注意ください。

常温保存可能だけど、開封後は使い切り

まず絶対に言いたいのは

飲み残しは保存不可

です。口をつけたものは容易に菌が繁殖しますので、飲み残しは破棄しましょう。
分注した残り(口をつけていないもの)についても、現在のところ
開封後はすぐにお飲みいただくことをお願いしています。開封後に時間をおかれますと、菌に汚染されたり、内容物が変質する可能性がありますので、飲むことはお控えください
引用元:https://www.glico.com/jp/newscenter/pressrelease/25793/
という方針になってます。(今後はもしかすると冷蔵保存などの話が出てくるかもしれませんが)開封後は飲むことは控えるようご注意ください。(詳しくはパッケージなどの説明文を読むようにしてください)


液体ミルクは常温のまま、そのまま飲ませても大丈夫

常温で飲ませて問題ありません。これまで人肌で赤ちゃんに飲ませていたと思いますが、「70℃以上で調乳するので、そのままだとやけどするので人肌まで冷まして飲ませないと危ない」というのが一番の理由だと思います。
常温程度であれば、消化吸収にも特に影響ないと考えられますが、もし赤ちゃんが好まないようであれば人肌程度まで温めてももちろん問題ありません。
温め方は、湯煎が一番ゆるやかでいいかなと思いますが、グリコの公式サイトによると電子レンジでの加熱も可能です(温めすぎてやけどしないように注意)。削除されたようです。

使用前には手洗いをきちんとしましょう

液体ミルク自体は、パッケージングの際に消毒されていますので清潔です。しかし、それを扱う手が汚れていては意味がありません。
粉ミルクで調乳する時と同じく、きちんと手洗いをしてから使用するようにしましょう。


国産の液体ミルク販売がはじまります

これまで液体ミルクを使用しようと思うと、海外の液体ミルクを個人輸入するしかありませんでした。しかし、輸送費を含めると個人で自由に使うには非常に厳しい価格となっていました。
赤ちゃんは、母乳かミルクしか飲めない時期が必ずあります。
その時に災害に巻き込まれると、被災地では粉ミルクを調乳するが非常に困難となります。
3.11に合わせて、ついに国産の液体ミルク販売が開始されます(3月5日から、グリコの公式ショッピングサイトでは販売開始されています)。



まだこの1種類しかありません。紙パック125mlのみ。
外国の製品のように、様々なサイズやディスポーザブル(使い捨て)の乳首(哺乳用の飲み口)を取り付けられるような商品はできていません。
でもこれは第一歩。
これから徐々にラインナップも増えてくると期待しています。

最後に

私は一人目は新生児期は母乳がほとんど出ず、混合栄養(母乳と粉ミルクの両方)で過ごしました。哺乳瓶拒否にあってからは完母(完全母乳栄養)になりました。
母乳をあげたいお母さんには、少しでも楽に母乳で授乳ができるように手助けしたい。
それと同様に、様々な理由で混合栄養や完全人工栄養(粉ミルクのみ)の方のサポートもしたい。
そして、どんな赤ちゃんもお母さんも、そしてお父さんや家族も、みんなで楽しくできるだけ楽に育児ができるよう祈っています。
そのために「液体ミルク」という選択肢が浮かんだ時、今回の記事が少しでも役立てば幸いです。

追記:明治からも液体ミルクが販売されました。また、雪印も作る予定があることがニュースとなりました。今後に期待します。

参考サイトなど

乳児用液体ミルクってなに? 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/health_promotion_190304_0003.pdf

日本初!乳児用調製液状乳(乳児用液体ミルク) 「アイクレオ赤ちゃんミルク」が消費者庁から表示許可を取得 3月5日(火)自社通販サイトにて発売、3月11日(月)から全国で順次販売開始 | 【公式】江崎グリコ(Glico)
https://www.glico.com/jp/newscenter/pressrelease/25793/

プレスリリース|企業情報|株式会社 明治
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2019/detail/20190305_01.html


(記事は下に続きます)
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