専業でもワーママでも、きっとそれぞれ悩んでいる

(1歳の娘と散歩中の写真)

私は、小さい頃母が大好きでした。
学校でどんな事があっても、帰ってきたら必ず母が家にいて待っていてくれる。
いじめや暴力をふるわれて帰ってきた時も、なにがあっても「おかえり」と迎えてくれる母の存在は、私にとっては本当に大きな救いだったのです。

そんな理由もあり、他にもいろいろ考えて、私は子供を産む時に「仕事は一旦辞めて、子供が小さいうちは一緒に過ごそう」と決めました。
幸い旦那は、働く事にも専業主婦になる事にもどちらにも理解を示してくれたので、私は長い仕事休みをする事にしたのです。

しかし、現実は厳しかった。
娘は本当にかわいくて仕方が無いのですが、慣れない育児は私を追いつめました。
産んでしばらくはよかったのです。だって、子供を産んだ同じ医師の友人たちも、そのくらい休んでいる人はいたから。それに、赤ちゃんは本当に手がかかるので、他の人に預けるとか考える余裕すらありませんでした。
しかし、そこを越えてくると毎日が葛藤の日々でした。


「やっぱり働きたい」
「自分の力でちゃんと稼ぎたい」
「毎日なにもできていない」
「娘も自分と毎日二人きりでつまらないだろう」
「きちんと育児のプロである保育園で先生に任せた方が、よほどいい環境なんじゃないか」
「働いたって夜は一緒に過ごせるんだし、それで十分じゃないのか」

悩みながら、それでも復職しなかったのは、それもまた私の選択です。正しく言うなら、家族の事情です。
一言で言うなら、仕方が無かったのです。どうしようもなかった。
それでも、振り返って思うのです。
あの時、もし復職していたら。
復職の打診があった時に、決心していたら。
いや、最初から短くしか休まない選択をしていたら。
そしたらどうなっていただろうか。娘もその方が幸せだったんじゃないだろうか。
私も、子供持ちながらガンガン働いている友人に、劣等感抱かずに済んだんじゃないだろうか……


昨日。
水曜日で幼稚園が半日で終わる日で、天気もよかったので、久しぶりに娘と散歩に出かけました。
U(3歳の娘)は、散歩しながら一緒にわいわいおしゃべりができるようになっていました。
大きくなったなあ。

「Uね、おさんぽだいすきだよ」
「へえー、そうなの? あなたが小さい時はね、あんまりお散歩が好きそうじゃなかったけどなあ」
「そうなの?」
「うん、誘ってもあまり行きたがらなかったし。うーん……まあ、毎日散歩ばっかりしてたからねえ」
「ままと?」
「そうよ、幼稚園に行く前は毎日ずーっとママと一緒にいたから、毎日散歩したり、公園に行ったりしてたのよ」
「わたしね、まいにちままといっしょにいれて、とってもうれしかったよ」
「えっ? そうなの?」
「うん、ずっといっしょでうれしかったの。とーってもね」

たわいもない会話です。
でも、私は、涙が出そうになりました。
ああ、そうか。よかったんだ。
私の選択は、正しかったか間違っていたかはわからない。
でも、そうだ、これでよかったんだ。
これから先、また振り返って悩んだりする事があっても、後悔しなくていいんだ。
だって娘が、うれしかったと言ってくれたのだから。


私は専業主婦になって山ほど悩みましたが、もし働いていたら働いていたで、「もっと一緒にいてあげれたら」とか「せめて小さいうちは家にいてあげた方がよかったんじゃないか」とかいろいろ悩んだと思います。
家族にはいろいろなかたちがあって、妊娠・出産のために、その後働く事を選ぶ人も、家を守る事を選ぶ人も、事情があってそれを選ばざるをえない人も、他にも家庭一つ一つそれぞれのいろいろなバリエーションがあります。
そして、きっと「もしもあの時に違う選択ができたなら」「本当にこれでいいんだろうか」と悩んでいる人が沢山いるのだと思うんです。
でも、誰も「それでいいんだよ」なんて言ってくれない。
当の子供も、何を考えているのかわからない。

娘の言葉は、本当にその頃の事を思い出していった言葉ではないかもしれません(2歳以前の記憶なんて、ほとんどなくて当然です)。
それでも、私の中に降り積もった劣等感も、ちっともきちんとできずにただ髪を振り乱して奮闘していた育児も、全然楽しい事なんてしてあげれなかった繰り返すだけの毎日も、娘のあの一言で「あれでよかったんだ」と報われた瞬間でした。


きっと、なにが正しいとかなにが間違っているとかじゃないんですね。
私が働いていたとしても、娘はまた別の言葉で「とってもうれしかったよ」と言ってくれたんじゃないかと思います。
きっと子供は、その時その時の環境で愛情をきちんと受け取って、「とってもうれしかったよ」と思ってくれているんじゃないかと、娘の言葉を聞いて思ったのです。


「Uね、さんぽだいすきだよ。もういっぱいあるけるよ、もう3さいだからね。だからまたいこうね!」
「そうだね、また行こうね」

ありがとう、U。


(記事は下に続きます)
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