夜泣き・黄昏泣きでコリック(疝痛)かなと思ったらガスと便秘のケアを


twitterで「コリックが原因とわかって喜んだのに、カテーテルを使ったらダメとか医療者は勝手に言うだけで、じゃあ一体どうしたらいいの」というご意見を見かけましたので、これも簡単に記事にしておきます。

コリック(疝痛)、baby colic海外では言うようですが、実際には日本語で言う黄昏泣きと同じく、「多分お腹が痛くて泣いてるんじゃないかな」くらいの、かなりおおざっぱな病名(?)です。昔は腹痛が原因と考えられていたので、結腸colon由来の、という意味のcolicと名付けられたようです。実際には、胃腸に問題が無い事の方が多い、らしい。
コリックの原因がわかれば世界各地誰も苦労していません。諸説紛々です。
そんなわけで、(ガスが溜まって泣いていると仮定した場合)基本は「便秘とガスの対策」になります。

前の記事で紹介したAAP(アメリカ小児科学会)が作っている一般向けのサイトの「コリック」対策のページ、対策の部分だけですが簡単にですが翻訳して紹介します。
https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/crying-colic/Pages/Colic.aspx




生後2〜4週頃から、一日中泣いている時にはコリックが考えられます(夕方に悪くなる事が多い)。赤ちゃんの1/5がなります。
原因ははっきりしません、刺激に反応しやすいとか、神経系が未発達だからではないかとも言われています。成熟するにつれて徐々に改善するので、通常3〜4ヶ月で治まりますが、生後半年くらいまで続く事もあります。
母乳育児の場合は、母親の食事に影響している事もあります(粉ミルクのミルクプロテインが原因の事は稀)。また、ヘルニアや他の病気が原因の事もあります。

いくつかの方法で、改善するかもしれません。
  • まず、病気が原因でないかを確かめるためにも、またこの下に書くやり方のどれが一番効果的かを確かめる事も含めて、小児科に相談しましょう
  • 母乳育児の場合、母親が食事内容を見直してみる(乳製品、カフェイン、たまねぎ、キャベツなど刺激的なものを避ける)
  • 粉ミルクの場合は、アレルギー用ミルク(加水分解乳)について小児科医にご相談ください(これが原因の場合は、変更後数日でコリックが減少します)
  • 赤ちゃんをお腹いっぱいにしすぎない(一般に次の授乳までには2時間〜2時間半あける事をおすすめします)
  • 抱っこ紐で歩き回る(その動きと、身体が接触する事で、もし不快でも赤ちゃんは安心します)
  • 赤ちゃんを揺らしたり、落ち着く音を聞かせましょう(隣の部屋の掃除機の音、衣服乾燥機や扇風機やホワイトノイズマシーンの音の聞こえる場所)
  • おしゃぶりを試してみる
  • 赤ちゃんを膝の上に腹這いにしてのせて、背中を優しく撫でる。
  • 大きな柔らかい毛布で赤ちゃんを包んであげる

過度に育児疲れをした時は、家人や友人に赤ちゃんを任せて外出しましょう。1〜2時間でも効果があります。決して赤ちゃんを揺さぶってはいけません。辛い時には、医者にご相談ください。

といった内容です。対策のところだけ長めに訳しましたが、なんともアメリカ的だなあと思う部分あり、日本の育児とはちょっと合わないと感じるかと思います。
by カエレバ

ホワイトノイズマシーンというのは、こういうもののようです。すいません、私は使った事がないので効果があるのかどうなのか……(英語で検索すると沢山でてきたので、海外では一般的なのかな……)

日本の育児事情も合わせて考えるなら、

  • 「授乳間隔をほどよくあける」
  • 「抱っこ紐で歩く」
  • 「おしゃぶりを試す」
  • 「赤ちゃんを膝の上に腹這いにして、背中を撫でる」
  • 「大きな柔らかい毛布で包んであげる」

あたりは受け入れやすく、試しやすいところかなと思います。(個人的な意見を言うならば、母乳の方の過度に食生活を制限する事は、ひたすらに母親を追いつめる結果になりかねないので、よほど医療者が薦める場合に止めた方がよいのでは、と思います)


ガスが原因というのであれば、便秘対策をする事をおすすめします。
頑固な便秘の場合は、処方薬も用いられます。市販のものを使う前に、便秘の原因を調べてもらうためにも、まずは小児科を受診してください(病気が潜んでいる事があります)
飲み薬を使わない方法としては、例えば綿棒浣腸やいわゆるイチジク浣腸を試す方法があります。便と一緒にガスも出ます。(綿棒浣腸やイチジク浣腸については、記事下に過去記事へのリンクをはっています。うちの子、便秘だったので……)
軽いお腹のマッサージを薦められる事もあります(お腹をマッサージすると、腸管の蠕動が亢進します。腸の動きがよくなります。これで便やガスの通りがよくなる場合も)。
カテーテルを肛門に挿入して排ガスを促す行為は、腸管を傷つける可能性がありますので、医療者に指導を受けたりという事がないのであれば決しておすすめしません(血が出たり、穿孔と言って穴があくことがあります)

赤ちゃんがげっぷを全部きれいにできればOKというわけでもありません。ガスは飲み込んだ気体でも溜まりますが、腸内でも産生されます(このあたりは大人のみなさん、自分でわかっているかと思いますが)。
ただ、ゲップさせた方が恐らくお腹がはる予防にはなると思いますので、夜泣きや黄昏泣きで困るようであれば、やはり授乳後はゲップさせてあげた方がいいかなあ(なにがなんでも吐かせなきゃ! と、神経質になる必要はないと思っています)。

赤ちゃんが泣くのに、理由がない事もあります。ただただ泣く時もあります。
ガスが夜泣きや黄昏泣き、全ての原因ではありません。もしそうであれば、多分世の中のみんな、夜泣きで悩む事はなくなります。

それとは別で、便秘やお腹がはってる感じがするな……苦しそうだな……泣き止まなくて困ったな……なんて感じる場合、ぜひ主治医にご相談ください。あなたの苦しみを減らすお手伝いができるかもしれません。

(もう少し詳しいエビデンスベースの話を知りたい方は、UpToDateの「Patient education: Colic (excessive crying) in infants (Beyond the Basics)」などをご覧ください。この話は一般向けなので読みやすいと思います)


過去に書いた綿棒浣腸のやり方や、イチジク浣腸をした時の話はこちら

綿棒浣腸で赤ちゃんの便秘を解消!
http://halproject01.blogspot.jp/2014/06/blog-post_17.html
小児科ドクター直伝・綿棒浣腸!
http://halproject01.blogspot.jp/2014/11/blog-post_25.html
綿棒浣腸はくせになる?
http://halproject01.blogspot.jp/2014/06/blog-post_5305.html
7か月の赤ちゃんにイチジク浣腸してみました
http://halproject01.blogspot.jp/2014/11/blog-post_4.html


(記事は下に続きます)
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