統計トリック〜麻疹のワクチン(予防接種)を受けている人の方が感染者が多くなる?!〜

1個前の記事「麻疹のワクチン(予防接種)を受けていても感染・発症するのはなぜか」の続き。

今後、麻疹の患者増加のニュースとともに、麻疹ワクチン(もしくはMRワクチン)接種歴の有無、回数についてもデータが出てくると思います。

*注:ここからは私の予想です。
恐らく今後、ワクチンを接種している人の方が、ワクチン未接種の人よりも多く感染者が報告されます。が、どうか惑わされないでください。

簡単な統計(数字)トリックと思ってもらえれば結構です。
NIID(国立感染症研究所)の「2013年度麻疹予防接種状況および抗体保有状況―2013年度感染症流行予測調査(中間報告)http://www.nih.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2262-iasr/related-articles/related-articles-410/4595-dj4104.html」から、かなりざっくりとした数字を導きだします。

抗体保有率が約95%→予防接種率がほぼ95%、残り5%が未接種
麻疹感受性の出てくる抗体価(1:128以上)以上の人が全体の85%



ここから、100人の集団があったと仮定します。
上の数字から、
5人がワクチン未接種
85人がワクチン接種&麻疹に感受性がない(麻疹に感染しない)
残り10人がワクチン接種しているが、麻疹に感受性がある(麻疹に感染する可能性がある)

この100人の集団に麻疹ウイルスが入り込んだとします。
すると、ワクチン未接種の5人はまず感染します。
そして、10人のワクチン接種しているけれども抗体が足りない10人も感染する可能性が出ます。

すると、この集団から最大15人の感染者が出て来た、と報道されます。
そして、
5人はワクチン未接種(もしくは接種歴不明)、10人はワクチン接種歴あり
と報道されることになります。
なんと、「感染者の3分の2がワクチンを接種していた! ワクチンは効かない! ワクチンは意味がない! 副反応の方が危ない危険な薬物!」
……という反応をされてしまう可能性があるのです。


もうおわかりですね。ワクチン接種をしている大多数は、感染をしていません。そして恐らく、ワクチン接種歴のある10人も重症化する危険は、ワクチン未接種の抗体ない5人よりもとても少ないでしょう。
ワクチンをうけていない5人は問答無用で感染していますが、そもそもワクチンを受けていない人が少ないために、少なく見えているだけに過ぎません。


というわけで、「ワクチン効かないんじゃないの?」と疑問を呈す人がいたら、胸を張って答えてあげてください。
「ワクチン打たない人が少ないから、そんな風に見えてるだけよ」


定期の予防接種をうけていないお子さんをお持ちの方、ご自身の接種歴が不明の方、未接種の方、是非積極的に医療機関にお問い合わせください。
MRワクチンが不足してきています。早めの行動を宜しくお願い致します。



追記:9/9時点での関空内での大阪府が発表している感染者の予防接種データが出ていました。
http://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/osakakansensho/mashinsyudan.html
予防接種未接種5人、不明10人、1回接種5人、2回接種13人。
というわけで、半分以上が予防接種接種済み、というデータになっています。上での推測通りと思ってもらっていいと思います。
それにしても、未接種や不明で、関空で就職できるんだな、ということに驚き。感染症が真っ先に入ってくるところなのに、水際対策がそもそも危うかったんだなあ……




(尤も、疑問の残る部分もあります。実際の数値を見ると、抗体保有率や抗体価が、40代以上が高いと報道されていますが、言うほど高くない。確かに1:2048とかの高い抗体価を持つのは40代以上なのですが、感受性がある1:128以上というのは、あまり40代以上でも高くありません。現在20代、30代に多く患者が発生しているのは、他に何か要因があるかもしれません。)


その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。


(記事は下に続きます)
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