「おやすみロジャー」の効果〜おすすめできる点、おすすめできない点〜

若干の医学的見地と我が家の使った感想などを少々。

前から評判になっていることは知っていたのですが、本屋で最初の数ページ読んで買う気が失せていた「おやすみロジャー」
おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本

カール=ヨハン・エリーン 飛鳥新社 2015-11-13
by ヨメレバ

先日義母からプレゼントで送られてきました。よくよく「まだ寝ないんだよ」とfacetimeすることがあったので、心配してくださったのではないかと思います。
折角頂いたので、きちんと読んで使ってみることにしました。ちなみに2歳2か月の娘です。
その上で、ざっくりとおすすめできる点とおすすめできない点をまとめます。


おすすめ出来る点

さて、読んでみましたが、これはわかりやすく効果が出る本だと思います。
同じ語の繰り返し、自己催眠なんかに使われる自律訓練法などは上手に取り入れられています(心理学で自律訓練法の実習をやりましたし、自己催眠にも興味があって本を買ってた過去がある私には懐かしい話)。
内容については、心理学として「眠気をさそう本」として申し分ないと思います。(心理学自体は医学部の教養で習った範囲なので、専門ではありません。すいません)



読み聞かせの時により効果が出るように、そういった語の部分のフォントや色が変えられているのはよい点と思います。
ただ、薄暗いと色の違いがわかりにくいのは残念。文字のサイズも変えたらよかったんじゃないかな。

感情移入しやすいように、子どもの名前を呼ぶ部分がいくつもあるのはよいと思います。

おすすめ出来ない点

が、これはどちらかというと子どもよりも大人に効果が高いかもしれません。少なくとも、「言葉をしっかりと理解出来る」年齢の方が効果があります。
それよりも小さい年齢の子が「よく寝る!」というレビューや口コミをみかけますが、これ、多分「退屈しているだけ」なのではないでしょうか。繰り返しが非常に多いので、とにかく退屈します。でも親は必死で読み続けるので仕方なく聞く→寝る、というパターン。
まあ寝ればいいのかもしれませんが……

それから、作者は日本人ではなく、スウェーデンのカール=ヨハン・フォルセン・アーリン(心理学及び言語学研究家)さん。
日本語の翻訳としては、ちょっと不十分なのでは? と思う部分がいくつか。
特に「いますぐに」はちょっとなあ……英語版では「now」らしいのですが、日本語のニュアンスとしては違うというか、それが度々出てくるのですが、その度にいちいちひっかかる感じがします。もうちょっとしっくりくる訳はなかったものか。
「ロジャーときみが」という二人称もちょっといただけない。英語なら自然なyouなのでしょうが、日本語にするとかなりくどい。不自然。日本語なら、youを全部子どもの名前にした方がいいかもしれないと思いました。
以上から、もしかすると、本来の言語の方が効果が高いかもしれません(これは個人的な感想、私はネイティブではないので申し訳ないが効果の確かめ様がありません)。

あと、絵本とは言えない。絵はほとんどないし、絵が非常にシュール。子どもが目にすると「これなに?!」とワクワク起きてしまい、目に入れない方がいいレベル。かたつむりがかたつむりじゃない、なんのクリーチャー? うつくしいふくろう? うつくしい?

一番おすすめできない点

これは、「絵本が面白くない」ことです。書店でみかけて購入しなかった理由は、この1点に尽きます。
面白い必要のある本ではありません。面白いと目が覚めるでしょうし、面白くないからこと眠くなるのでしょう。
が、本当に面白くない。読んでても面白くない。読まれてる子どもも全く面白そうじゃない。
寝かしつけに使う以外にも、沢山絵本の読み聞かせをする家庭なら問題ないと思いますが、「寝る前だけ絵本の読み聞かせをしています」というご家庭は、使ってほしくない。
これだけ読み聞かせていたら、本嫌いの子どもができてもおかしくない、というくらい面白くありません。
作者さんごめんなさい。個人の感想です、ご容赦ください。私、本当に本が好きな人間なので、こういう本はやっぱり好きになれません。これはあくまでも眠らせるためのツールであって、絵本ではないと思うのです。
なので、本当に目が冴えて目が冴えて眠れそうにない暴れ回る子どもに読み聞かせる最終手段として使うのはよい本と思いますが、できればその分、面白い絵本をもっともっと子どもさんには読んであげてください。


我が家での効果

現在2歳2か月。言葉の発達はかなり早いので、内容の理解は問題ない程度です。
効果、一応あります。読んでいる間にあくびをしたり、眠そうにしはじめます。
が、寝ません。普段の寝かしつけ以上に寝ません。とりあえず初日は1時間かかりましたし、絵本では眠らず、結局いつもの子守唄で寝ました。
うちの子はお話も絵本も大好きなので、本を読んでいると最後まで頑張って聞いてしまいます。
それに、一つでも学び取ろうとするようで、いろいろ質問してきたりもします。私もコミュニケーションツールとして絵本を使いたいので、この絵本は辛い。
ただ、旦那と寝る時はハッスルしまくりで全く寝ない子なので、その時に使うのはありだと思いました。いつもよりは早く眠くなる様子がありました。
ですが、私と二人で落ち着いて寝かしつけするときは、今まで通り面白いお気に入りの絵本と子守唄にしてあげたいなあ。
(ちなみに現在我が家のお気に入り寝かしつけ絵本は、よるくまなど。幸せな気分で寝かしつけに入れます。2歳児の子どもをもつ身として寝かしつけ用絵本を1冊おすすめしろと言われたら、私個人としてはよるくまを推薦)
よるくま

酒井 駒子 偕成社 1999-11
by ヨメレバ


結論

寝かしつけに苦戦して、もう毎日のストレスで死にそうなお母さんは、買ってみる価値があると思います。
少なくとも、本を読むことに没頭することで、お母さんのストレスが軽減されます。読む側も心が落ち着きます。
それに、合う合わないの可能性はありますが、合えばそこそこの効果は期待できます。
そこまで高いものではないので、購入に悩んでいる方は試してみてもいいのではないでしょうか。安いKindle版で一度読んでみて、導入検討するのもよいかもしれません。
ただ、絵本の楽しさだけは期待してほしくない。あくまで寝かしつけの新しいツールとしての導入と考えてご購入ください。

あとは、不眠に悩む大人の人が音読すると効果があると思います。自律訓練法の入門書として面白いんじゃないかな。ひどい不眠の友人にプレゼントしたくなってきた。


同じような手法を取り入れ、なおかつ面白い絵本としても完成している絵本を作って欲しいなあ。むしろ自分で書こうか……

追記:とか言ってたら、似たようなことを考える人がいたようで、こんなのが出ていました。


おやすみ、ちいさなこ

バーナデット・ケアルス,明橋 大二 竹書房 2016-06-30
by ヨメレバ
こちらの方が絵本らしく、内容も絵もかわいいです。2歳のうちの子でも最後まで十分読める内容です。ロジャーは寝るのに後ろ向きな内容なのがとても気になったのですが、こちらは寝る事がハッピーな内容。
もし人にすすめるなら絶対こっちにします。
ただ、本当に寝るかどうかはロジャーと同じく合う合わないがあると思うので……
うちは楽しい普通の絵本読む方が性に合ってるなあ……



(記事は下に続きます)
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