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2016年9月16日金曜日

大人が麻疹(はしか・麻しん)にかかると重症化するのか〜「子どものうちにかかった方がいい」?〜

今回は麻疹の軽い話題を。と思ったのに、長くなりました。

「大人になって麻疹にかかるとひどいことになる」
というような話を聞いた事はないでしょうか。
というか、こんな話が出るから「子どもうちに麻疹にかかっておいた方がいい」なんていうとんでも理論が登場するわけですが……
実際に重症化するのか気になったので、ちゃんとデータがあるのか調べてみました。
(ちなみに、昔は本当に麻疹が普通に流行していたので、免疫がない子どもが罹患する→免疫をもって成長して大人になるので、大人になってから感染する人が少なかった、という前提があります。)


こんな論文を見つけました。
「成人麻疹入院患者の臨床的検討:小児麻疹入院患者と比較して」感染症学雑誌 第77巻 第10号
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0770100815.pdf

2000年〜2002年に入院した113人の成人麻疹患者さんの調査をし、小児の患者さんと比較をしたというもの。

あくまで「入院した患者さん」の比較なので、そもそも重症化が懸念された方たちである可能性はありますが、症例数としてはそこそこあります。
詳しくは日本語の論文なので、元論文を読んでもらったらよいかと思いますが、非常に簡単にまとめると

  • 発熱期間も、最高体温も差がなく、その他の症状も咽頭痛が成人の方が強い傾向がある以外は有意差がなかった。
  • 中枢神経系合併症と後遺症が成人に多かったが、母数が少ないため本当に多いかはわからない。
  • 以上から、成人麻疹入院患者の症状は、小児と同等かやや重症。

といったところでした。
つまり、「大人になって麻疹にかかると重症化する」というのは、明らかに言い過ぎであり、「だから子どものうちにかかっておくのがいい」というのは全くのデタラメであることがわかります。
はっきり言うなら、「大人も子どもも、麻疹にかかるとひどいことになる」というのが正しい表現かな、と。
リンク元を詳しく見ていただけるとわかりますが、

  • 40℃を越えた症例が50%
  • 最高体温42.0℃
  • 有熱期間1週間以上が半数以上
  • 咽頭痛による経口摂取不能が入院の原因の症例あり
  • 小児麻疹の50%に合併症
  • 入院期間の平均が7日前後、入院日数の最長は 34日

なんてことが書かれています。麻疹、本当に軽い病気じゃありません。

大人の方が重症だと言われるのは、恐らく子どもよりも記憶に残りやすく、また症状の強さをはっきり自己主張できる部分によるものが大きいのではないでしょうか。
麻疹にかかった多くの方は幼少期であり、本人が「はしかにかかって大変だったよ」と覚えていることはほとんどないでしょう。
乗り越えることができたからこそ、
「小さい頃にかかったから大人になってかからずにすんだ」
「大したことないよ、はしかは誰でもかかるもの」
という感想が出てくるように思います。
感想が出てないからひどくない、辛くないわけがありません。子どもも同様に、苦しんでいるはずです。

もちろん、この論文のデータだけで全てを語るつもりがありません。
しかし、実際には、子どもでかかろうとも、大人でかかろうとも、中耳炎、肺炎、脳炎などの合併症を一定数が発症し、重症化する病気です。
「子どものうちにかかった方がいい」
などという人がいたら、「それはトンデモだよ」と言える知識をもっていてもらいたいと思います。




その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。

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