2017年麻疹が流行の兆し〜去年との比較と流行を防ぐために出来る事〜

2016年に関空を中心として麻疹の流行が起きました。
そして2017年、すでに麻疹の流行の兆しがあります。
2016年、流行は一旦治まったのですが、2017年5週あたりから徐々に麻疹患者さんの報告が増え始めました。
2月には三重の工場で集団感染。広島でも患者さんが広がりました。

そして3月、横浜在住の20代男性が、(バリ島に2月26日まで滞在していた)山形県に来県中に麻疹と診断されました。
これを初発例として、徐々に広がります。
同じ自動車教習所に通っていた方、同じ宿泊施設を使った方や従業員、診察した医療従事者が次々と感染。
更にこの二次感染を起こした方々が利用した施設や、同じ職場で三次感染が広がっています。
山形のみならず、埼玉、宮城、三重、東京、滋賀と感染は拡大しています。
その数、4月6日の時点で54例(http://www.pref.yamagata.jp/pickup/interview/pressrelease/2017/04/copy22_of_02110223/)。



http://www.nih.go.jp/niid//images/idsc/disease/measles/2017pdf/meas17-12.pdf

国立感染症研究所の速報データから引用したグラフです。

見て頂くとわかると思いますが、すでに3月29日(12週)の時点で、2013年と同じレベルで患者数が増加しています。
この時点で、山形関連の患者数は3人分しか報告されていませんので、この2週後には50人以上が追加されます。(更に他の県でも、これとは別の麻疹の患者さんが報告されています)
14週で120人程度の報告数。
2015年は、一年間での患者数が35人。
流行した2016年(流行が起きたのは秋頃からですが)の年間の患者数が159人です。

2016年で一番報告数が多かった週は35週の38人。
今後の経過はわかりませんが、2016年と同等かそれ以上の流行を見せる可能性があります。

麻疹は、流行を防ぐのが非常に難しい病気です。

  • 発熱前から感染源となる
  • 初期は風邪と同じ症状なので、麻疹と本人も思わずに行動してしまう
  • 潜伏期間が長い(10〜12日)ので、忘れた頃に症状が出始める
  • 症状が出そろうまで、診断が難しい(麻疹患者さんとの接触が疑われるケースでは早く診断がつきますので、病歴が重要)
  • 空気感染を起こすので、通常のマスクでは感染を防げない→詳細
  • 感染力が非常に強く、1人の患者さんが20人程度の人を感染させる(インフルエンザの10倍近い値)→詳細

これらの理由から、一度感染がスタートしてしまうと、ねずみ算のように患者さんが増えて行きます。

それでは、どうやって防ぐか。
それは、麻疹の免疫を持つ人を増やす事
これはつまり、ワクチンを接種する事に他なりません(麻疹単独のワクチンは数が少ないです。風疹の抗体も作る事ができるMRワクチンを強くおすすめします)。

90〜95%の人が麻疹の抗体を持たないと、麻疹は流行します。

「一度もMRワクチンの接種をした事がない」
「1回しかMRワクチンを接種してない」
「ワクチンの接種歴が不明」

これらの方は、ぜひ、医療機関に問い合わせてみてください。あなたの行動が必要です。
世の中には、ワクチンをうつことができない妊婦さん、乳児、免疫不全の方、何回ワクチンを接種しても抗体が出来ない方、麻疹に感染すると命に関わる持病をお持ちの方が大勢いらっしゃいます。
あなたの行動が、あなたの健康と命を守るだけでなく、沢山の方の命を救う可能性があります。

どうか、MRワクチン接種を励行してください。


2016年流行時の麻疹の記事の一覧をおいておきます。
妊婦さんや1歳未満のお子さんのワクチンの話、麻疹についての基礎知識、ワクチンの話など、テーマ毎に書いています。
http://halproject01.blogspot.jp/2016/09/blog-post_11.html

(記事は下に続きます)
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