授乳中に麻疹ワクチン・MRワクチン接種は可能か?

現在授乳中で、自分がもし麻疹かかると子どもにうつすかもしれない……でもワクチンにうったら、母乳に出て来て、子どもに害があったらどうしよう……
そんな風にお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
授乳中の麻疹ワクチン・MRワクチン接種は可能か。
答えは、「可能です」


というわけで、以下に詳しい説明を載せています。
授乳中の母親の体内に入ったものは、多かれ少なかれ、母乳中に分泌される可能性があります。

麻疹ワクチンは生ワクチン、つまり弱毒化と言って、病原性を非常に弱くしたウイルスが中に入っていることになります。
従って、この弱まったウイルスが母乳中に入ると、もしかすると赤ちゃんに感染するのでは……? という懸念は、実は理にかなっています(実際には、丸ごとウイルスそのものではなく、母乳中のリンパ球にウイルスの遺伝子が入っている可能性がある、という意味)。
しかし、まず麻疹ウイルスは上気道感染を起こすウイルスです。
母乳中にもし麻疹ウイルスが入っていたとしても、まず口から入り、唾液(と様々な酵素)と混じるため、この時点で感染性を失うと考えられます。
そもそも、非常に微量であるため、いかに乳児であったとしても影響はないと考えられます。
母親の母乳からの抗体が移行することを期待する方もいるかもしれませんが、残念ながらこちらも微量であるため、赤ちゃんの感染を防ぐほどにはなりません。
風疹に関しては、風疹ワクチンウイルスが乳汁中に分泌され、乳児に移行することがありますが、やはりこちらも感染を起こしたり、逆に乳児自身に十分な効果があるほど抗体を作ることもありません(一時的に抗体価が上昇することはあるようです)。


以上から、「授乳中に麻疹ワクチン・MRワクチンを接種した場合、母乳中に極少量ワクチンの成分が分泌されるが、乳児に影響を与えるほどではない。従って、授乳婦自身の感染を防ぐため(ひいてはその赤ちゃんを含む家族への感染を防ぐため)、麻疹ワクチン・MRワクチンの接種は十分に可能である」という結論でよいかと思います。


授乳中で、ワクチン接種を悩んでいる方。ぜひ迷わず、ワクチン接種に行ってください。
さらなる不安があれば、問診時にもお尋ねください。
どうぞあなた自身、家族、赤ちゃんを守るため、ワクチン接種をうける人が一人でも増えることを祈って。


その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。


参考サイト
http://www.daiichisankyo-kv.co.jp/knowledge/faq/measles.html
http://www.wakutin.or.jp/medical/pdf/qa_2015.pdf


(記事は下に続きます)
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