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2016年4月27日水曜日

「ワセリンでアトピー予防という理研の発表が!」という記事に惑わされないで

「アトピー性皮膚炎の原因遺伝子が発見され、ワセリンで予防出来る可能性がある事が理研によって発見された」という内容のネットニュースをあちこちで見かけます。
が、お願いだからよく内容を読んでください。

アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明 | 理化学研究所 http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160426_3/
こちらが理研からの発表内容。
英語の論文もありますが、ほぼ上記のURLに日本語訳があるので省略します。

「ワセリンでアトピーが予防出来るよ!」という内容ではありません。

ざっくりと内容を説明すると、




マウスに遺伝子異常を起こさせて、突然変異マウスを作製した。
その中でアトピー性皮膚炎を起こしたマウス(Spadeマウス)を調べたところ、「JAK1」というチロシンキナーゼ活性をもつ細胞内信号伝達分子のアミノ酸配列に異常を起こす変異を起こしていた。
JAK1が皮膚で活性化変異を起こすことでアトピー性皮膚炎を引き起こしていた。(これが今回の一つの結論)

さらに、このSpadeマウスはアトピー性皮膚炎を起こす前から、皮膚のバリア機能が低下していることがわかった。
なので、バリア機能が低下しはじめる頃(アトピー性皮膚炎が発症する前)からワセリンを塗ってみた。
すると、バリア機能が改善し、さらに真皮に炎症細胞が集まるのも防いでおり、アトピー性皮膚炎を2か月以上発症させなかった。

ちなみに、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚でも検査してみたら、6例中4例でJAK1が表皮細胞で活性化していた。


という内容です。


つまり、「アトピー性皮膚炎を起こし、なおかつアトピー性皮膚炎発症前からワセリンなどで予防出来るという特殊なマウスを作りました。アトピー性皮膚炎は様々な要因が絡んでいて研究が難しいけれど、これを使えば発症前から研究出来るので、予防法や治療法が研究できますよ」という内容です。

もう一度言いますが、
「ワセリンでアトピーが予防出来るよ!」という内容ではありません。
ましてや、「アトピーはワセリンで治るよ!」という内容では決してありません。

アトピー性皮膚炎の研究によいマウスができました、という話です(もしかしたら、人間でも似たような遺伝子異常があるかもしれないけれど)。
ワセリンに保湿効果があり、バリア機能改善の効果がある事は以前から知られていたことです。
しかし、そもそもこれまでは「アトピー性皮膚炎発症前」を診断できなかったので、発症前からワセリンを塗って予防出来たかどうかなんて、判別の使用がなかったのです。
なので、twitterなどで「私はアトピーだけど、そんなこと常識じゃん」「子どももアトピーだから、ワセリン塗りたくってるよ」というツイートを見かけますが、これまた全く見当違いの内容です。

ですので、今回の発表をあくまで無理矢理臨床に応用するとするならば「アトピー性皮膚炎発症前からワセリンを塗り続けていたら、発症を抑えられる例があるかもしれないから、アレルギーの素因が強い患者さんがいたら、予防的にワセリンをすすめてもいいかもね」といったところではないかと思います。
ワセリンは長年使われており、非常に安全性も高い(ごくわずかに肌に合わない方もいますが)ため、私はワセリンをおすすめしています。安いし。
自分の子どもに全く保湿剤を塗らずにいたら、ひどい乳児湿疹を起こしたので(ワセリンや最終的にステロイドも使用してようやく治りましたが)、最初から保湿しておけば……と大層後悔しました。幼いお子さんがいらっしゃる方には、ぜひおすすめしたいところです。(ワセリンその他保湿剤の考察については、「赤ちゃんの皮膚トラブル〜保湿剤について考える〜」でいろいろ書いてます)
ですので、ワセリンを否定しておりません。むしろすすめています。そこのところ、誤解のなきよう。




ちなみに我が家で絶賛愛用中なのはこれ。
皮膚保湿に怪我に唇の荒れに綿棒浣腸にと赤ちゃんから大人まで使い放題だけど、持ち運びができないのが難点。



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