三重県での集団麻疹感染の簡単なまとめ
現在三重県では麻疹の集団感染が起きています。2018年末の民間団体の研修会で、研修会に参加した和歌山県の1人が麻疹に感染し発症→研修会に参加した49人とスタッフのうち、三重県24人、岐阜県3人、愛知県1人、大阪府1人(報道発表のみで未確定)合計29人(2019年1月17日現在)が集団感染を起こしています。
そのほとんどはワクチン未接種です。
更に三重県からのお知らせで、2名の二次感染(家族への感染)が出ています。
三重県の発表では、現在麻疹患者24人。予防接種歴なし20人、1回接種4人。— 相川晴(HAL) (@halproject00) 2019年1月17日
岐阜県3人、愛知県1人、そして和歌山の初発1人の合計29人……と思ったら、大阪でも出ているようです。30人?
大阪は他経路でも出ているようです、麻疹。https://t.co/EcfPRmXf2K pic.twitter.com/pFSZ6PVgD4
(細かい話はtwitterでつぶやいてますので気になる方は参考に)
1月6日京セラドーム大阪のイベントに麻疹患者さんが参加&その日はAKB48大握手会
2019年1月17日付で大阪市から注意喚起が出ています。三重県在住の上記の集団麻疹感染を起こした10代男性が、1月6日の京セラドーム大阪のイベントに参加したという注意喚起。
大阪市からの注意喚起。— 相川晴(HAL) (@halproject00) 2019年1月17日
三重麻疹の患者さんが、1月6日に近鉄電車、阪神電車で三重県から京セラドーム大阪往復、京セラドーム、イオンモール大阪ドームシティを利用。
下記の時間帯に同施設利用した方、麻疹感染の可能性があります。大阪市からのお知らせをご覧下さい。https://t.co/RYagahrAQu pic.twitter.com/XNPkPnO5Pc
引用元:大阪市:麻しん(はしか)患者の発生に伴う注意喚起について (…>健康・医療>感染症・病気に関すること)
そしてAKBからの公式発表がこちら。
AKB48 KING RECORDS official website | 2019年1月6日(日)京セラドーム大阪 AKB48「NO WAY MAN」劇場盤発売記念 大握手会<br>麻しん(はしか)患者の発生に伴う注意喚起について
"平素よりAKB48グループを応援いただきありがとうございます。
弊社主催のイベント(2019年1月6日 京セラドーム大阪 AKB48「NO WAY MAN」劇場盤発売記念 大握手会)に関しまして、
麻しん(はしか)患者の発生に伴う注意喚起の情報提供がありましたので、お知らせ致します。
詳細につきましては、下記、大阪市公式ホームページをご確認ください。
大阪市公式ホームページ
http://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000458730.html"
大阪市の発表とAKB公式の発表では、麻疹患者さんがAKB48の握手会に参加したのかどうかははっきりしませんが、少なくとも同じ時間帯に同一空間にいたことから、上記の時間帯に握手会に参加したみなさん、麻疹感染の可能性があります。
麻疹の感染力
麻疹は大変強い感染力を持ちます。空気感染と言って、マスクを素通りしてしまうのでマスクは役に立ちません。病院の待合室の端と端にいたのに感染した……というくらい、同じ空間内にいるだけで感染の可能性があります。
インフルエンザの10倍程度と考えてください。
麻疹ウイルス自体は空気中や物体表面では2時間程度で感染力を失いますので、それ以外の時間帯に利用されても麻疹感染の可能性はありません。
参加者の方へ確認してほしいこと
母子手帳を確認してください。麻疹のワクチンを2回接種していれば、麻疹の心配はほぼありません(抗体ができにくい方もいるので100%とは断言できませんが、万が一かかっても軽くすみます。修飾麻疹といいます)
- 麻しんワクチン
- MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)
- MMRワクチン(麻しんムンプス風しん混合ワクチン)
これらのどれか合計2回接種したという記録があれば、あまり心配する必要はありません。ワクチンの効果で麻疹の抗体が体の中でできているので、麻疹のウイルスが入ってきてもやっつけてしまいます。
また、すでに麻疹にかかったことがある人も心配ありません(しかし、こちらも記憶違いのことが多々あります。検査をして麻疹と診断された、という記録が残っている必要がります)
記録はないけれども、病院で麻疹の抗体価(免疫があるかどうかの指標となる抗体がどのくらいあるか)の検査をして、「十分に抗体がある」と説明された人も心配ありません。
記録はないけれども、病院で麻疹の抗体価(免疫があるかどうかの指標となる抗体がどのくらいあるか)の検査をして、「十分に抗体がある」と説明された人も心配ありません。
麻疹に感染する可能性のある人はどんな人
- 麻疹のワクチンを2回接種したという記録がない
- 麻疹にかかって検査を受けて診断された、という記録がない
- 麻疹の抗体価の検査をして「十分な抗体がない」と言われている人
これらの方は、「もしかしたら麻疹に感染したかもしれない」と考えて行動してください。
「なんだか風邪っぽい」が麻疹の初期症状
麻疹患者さんと接触の可能性があった後、10〜12日程度の潜伏期間をあけて、37.5度以上の発熱、咳・鼻水・ くしゃみ・咽頭痛等の上気道炎症状(要するに風邪のような症状)、倦怠感、発疹等の症状が出た場合、麻疹かもしれないと考えて行動しましょう。特に、最初に症状が出る時には、麻疹の症状として有名な発疹(皮疹、ブツブツ)は出ません。ただの風邪と見分けがつきませんので、自己判断はしないように注意しましょう。
今回の場合、すでに症状が出始めている頃です。「そういえばちょっと微熱もあるしなんだか風邪っぽいな」という方は麻疹の可能性があります。
健康観察期間(症状が出なかったら感染してないから大丈夫だよ、と考えられるまで健康の様子を見る期間)は長く見積もって21日と考えてください。今回のケースでは1月27日までに症状が出なければ感染の可能性はほぼありません。
(もし保健所などから個別に指導された場合は、その指導に従ってください。)
麻疹の感染力は症状が出る1日前からあります
最初の風邪のような症状が出始める1日前から麻疹の感染力があります(これが麻疹の非常にやっかいなところです)。気づかずに家族に感染させてしまうこともあります。ぜひ今のうちに、ご家族の予防接種歴もご確認ください。
麻疹に感染した人と接触してから72時間以内であれば、緊急ワクチンと言って、ワクチンを前もってうつことで発症を防ぐ方法があります(今回のケースで握手会に参加した人は間に合いません)。ご家族を守るために頭の片隅においておいてください。
症状が出た時は受診前に「医療機関に電話連絡を先にする」
症状が出た場合、麻疹を他の人にうつさないためにいくつか注意していただきたいことがあります。- まずマスクをします(他の人へ感染させるリスクを少しでも減らすためです。N95などではなく、普通のマスクでOK)
- 医療機関に電話で「麻疹かもしれません」とはっきり伝え、指示を仰ぎます(場合によってはその医療機関では対応できない事もあります)
- 医療機関への移動は公共の交通機関は使わないでください(感染を周囲に広げる可能性があります)
- 麻疹患者と接触の可能性があり、麻疹の疑いがあるかどうかの情報は、診断の上で非常に重要です。必ず伝えるようにしてください。
「○日から○○の症状があるんですが、1月6日のイベントで麻疹患者さんと接触したかもしれません。麻疹かわからないんですけど、受診しても大丈夫ですか?」
と電話口で伝えてもらえると助かります。
今の季節はインフルエンザも流行していますし、他の風邪も流行っています。症状のみでの診断は非常に難しいため、「麻疹患者さんと接触した可能性がある」という情報は非常に役立ちます。診断に必要です。必ず電話連絡時と受診先で教えてください。よろしくお願いします。
「麻疹かな?」と思ったら
もし可能であれば、一緒に参加した友達やファンの方にも知らせてあげてください。もしかすると、すでに症状が出て困っているかもしれません。
握手会に参加したAKB48グループのメンバーの方、スタッフの方、ファンの方、できれば一人の感染者も出ないことを祈っています。
よくある質問
参考サイトなど
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000007/7866/mashinkisyahappyou(0111).pdfhttp://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000458730.html
http://www.pref.mie.lg.jp/YAKUMUS/HP/m0068000016.htm
https://www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c_11223/310117masintyui2.html
http://www.kyoceradome-osaka.jp/schedule/
IDSC 感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/vaccine/b-measles.html
麻疹発生時対応ガイドライン 第二版:暫定改訂版
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/guideline/guideline02_20160603.pdf
その他、麻疹関連の情報は当サイト内にいろいろ書いていますので、どうぞ参考に。
麻疹(麻しん・はしか)情報
(記事は下に続きます)
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