インフルエンザワクチンと卵アレルギー

「卵アレルギーだとインフルエンザワクチンはうけられないんですか?」

という質問を多くいただきますが、卵アレルギーでもインフルエンザワクチンは多くの場合は接種可能です


国立感染症研究所の2009年の記事から引用します。
(長いので要約しますと、
「卵アレルギーの程度にもよりますが、ほとんどの場合問題なく接種できます。鶏卵由来のタンパク成分が残る事もありますが、極微量であるので、ほとんど問題となる事はありません。アナフィラキシーショックを起こすような重篤な卵アレルギーがある方は、主治医とご相談ください」
という事です。)



"卵やゼラチンにアレルギーのある人にインフルエンザの予防接種はできるでしょうか?卵アレルギーの程度にもよりますが、ほとんどの場合問題なく接種できます。
季節性インフルエンザワクチンも国内産の新型インフルエンザワクチンも、その製造過程において、インフルエンザウイルスの増殖に発育鶏卵を用いるために、最終製品であるワクチンの中に、ごくわずかながら鶏卵由来のタンパク成分が残って、それによるアレルギー症状がまれに起こることがありえます。しかし、近年は高度に精製され、その量は極めて微量であり、通常は卵アレルギーがあってもほとんど問題となりません。しかしながら、鶏卵を食べてひどい蕁麻疹や発疹を生じたり、口腔内がしびれたりする方や、卵成分でアナフィラキシーショックを起こしたことがあるような、重篤な卵アレルギー(卵摂取でアナフィラキシー反応等)がある方は、ワクチン接種を避けるか、インフルエンザの罹患リスクとワクチン接種に伴う副反応リスクとを考慮して、接種前にかかりつけの医師とよく相談のうえ、十分に注意して接種することを勧めます。接種ワクチン液による皮内反応を事前に実施するなどの方法を採る場合もあります。
日本小児アレルギー学会の見解(平成21年3月)によると、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー体質などといわれているだけででは、予防接種不適当者にはならないとされており、ワクチン成分に対してアレルギーを有すると考えられる者(卵白RAST陽性、又は卵接種後の蕁麻疹の既往など)が予防接種要注意者に該当するとされています。詳細は「予防接種ガイドライン」参考2の4「接種しようとする接種液の成分に対して,アレルギーを呈するおそれのある者」を参照してください。
また、ワクチンに安定剤として含まれていたゼラチンに対するアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が報告されていましたが、現在、インフルエンザワクチンを生産している国内4社からの製品にはいずれも、ゼラチンは含まれていません。"


これは2009年で、その後小児のインフルエンザワクチンの量が変更されました。こちらについても検討されています。2013/14シーズン及び2014/15シーズンのインフルエンザワクチンで、鶏卵未接種群、鶏卵アレルギーで完全もしくは部分除去群、非鶏卵アレルギー群で、アナフィラキシーショックの既往7人を含む191人の有害事象の検討を行っています。こちらでも、全例で重篤な全身症状を認めておらず、鶏卵アレルギーに対するインフルエンザワクチンは安全である、と結論づけています。

インフルエンザワクチンを受ける際には、鶏卵アレルギーである事は必ず申告してください。症状の程度により、対応が異なってきます。特にアナフィラキシーショックを起こしたりと重篤な症状の出る卵アレルギーをお持ちの方は、必ずご相談ください。
もし「うちではできない」という対応をされた場合は、アレルギーを専門とした病院などに相談されるといいかと思います。


医療関係者の方へ

日本語では、アステラスの医療者向け「インフルエンザQ&A」の「卵アレルギー、気管支喘息などアレルギーをもつ方における、接種上の留意点について教えてください。」が、海外と国内のガイドラインをまとめてくれていますので、ぜひ参考にされてください。

メディコンのCDCウォッチで、2011年に「インフルエンザワクチンとアレルギー」というCDCの見解を解説されています。(上記のアステラスのサイトの中でも触れられています)
「アレルギー反応なく、軽く調理した卵(スクランブルエッグなど)を食べることができるか?」
「卵もしくは卵を含んだ食物を食べた後に、経験したのは蕁麻疹のみか?」
「下記のような症状を経験したか?(アナフィラキシーショックの有無)」
をyes、noで判定するわかりやすい基準などを書かれています。
その後2016年に改訂があり、現在は更に緩和された基準をCDCが出しています。(蕁麻疹のみも、30分の経過観察は不要)
詳細は「Flu Vaccine and People with Egg Allergies | Seasonal Influenza (Flu) | CDC」に書いてあります。下部のところに、yes/noのアルゴリズムが書かれていますので参考にどうぞ(基本的にはアステラスのサイトにまとめられている内容です)。

他には日本ワクチン協会の出している「予防接種に関するQ&A」にいくつか記載があります(p12、p13、p202)。ちなみに、MRワクチン、麻しんワクチン、おたふくかぜワクチンについては鶏卵アレルギーがあっても接種可能です。これは予防接種に関するQ&Aのp13を参考にしてください。



参考サイト
感染症情報センター<パンデミック(H1N1)2009>
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/QAFlu09.html

大谷 清孝、藤本まゆ 「鶏卵アレルギーと接種量が増量となったインフルエンザワクチンの安全性に関する検討」日本小児アレルギー学会誌、Vol. 29 (2015) No. 5 p. 665-675
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci/29/5/29_665/_article/-char/ja/

http://www.medicon.co.jp/views/showbin.php?id=48&type=73&.jpg

Flu Vaccine and People with Egg Allergies | Seasonal Influenza (Flu) | CDC
https://www.cdc.gov/flu/protect/vaccine/egg-allergies.htm#recommendations

卵アレルギー、気管支喘息などアレルギーをもつ方における、接種上の留意点について教えてください。(インフルエンザQ&A)|領域・ご専門|アステラスメディカルネット
https://amn.astellas.jp/jp/specialty/vaccine/influenza_qa/a2_q03.html

インフルエンザワクチンとアレルギー メディコンCDCウォッチ
http://www.medicon.co.jp/views/showbin.php?id=48&type=73&.jpg



(記事は下に続きます)
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