もし麻疹が日本で流行したらどうなるか〜抗体価から考える感染者数と死亡者数〜

もし現在の日本で麻疹が流行したら、いったいどのくらいの人が感染して、どのくらいの人が合併症に苦しみ、亡くなる可能性があるのでしょうか。


麻疹が流行すれば、免疫の足りないひとは全員かかるという覚悟をしてください。
(実際には修飾麻疹は合併症が少ないので、もっと少ないとは思いますが、あくまで仮定の話として聞いてください)
そして荒っぽく乱暴な計算をさせてもらうと……


  • 免疫の十分でない人が約15% → 約2000万人が感染
  • 合併症の脳炎になる人    → 約2〜4万人
  • SSPEが8.5/100万人      → 約170人
  • 麻疹感染者の0.1〜0.2%が死亡 → 2〜4万人が死亡

という計算になります(まあ流石にここまでの流行は起きないと信じていますが)。

ただし、麻疹感染者の40%が入院となるというデータがありますが、800万人が入院するには受け皿が全く足りません(全国の病院病床数は150万床程度)。そのため、必要な治療が受けられない人が出てくる可能性もあります。そうすると死亡数はさらに増える可能性を秘めています。

*修飾麻疹について
麻疹の抗体が、2013年の調査で、修飾麻疹も防ぐ1:128以上以上ある割合は85%前後(できれば1:256が望ましいとされるが、その割合はさらに低く全体で75%程度)であることを考えると、感染して重症にはならずとも、周りに感染させる感染源となる人が15%ほどいることになります。
この、十分に麻疹の抗体がないために軽症で済む麻疹を修飾麻疹といいます。修飾麻疹になると、自身は軽症でも感染源になります。
この修飾麻疹を考慮すると、流行する可能性は高いと考えられます。



麻疹は空気感染します。防ぎようがありません。普通のマスクは素通りします。
N95マスクを使えば防げますが、これをつけたまま日常生活をするのは不可能と考えてください。
by カエレバ
↑こんな感じのとてもごついマスクです。市販もされてます。
本当に免疫がない人の最期の切り札くらいに思ってた方がいいです。妊婦さんで抗体の足りない人が、どうしても人ごみに行かないといけない時など。
つけたらわかりますが、本当に苦しいです。病院や結核実習で使うこともありましたが、長時間の仕事は避けたい。
それに、きちんとつけないと全く効果がありません。隙間があると意味がありませんので、万が一購入するのであればサイズを確認してみてください。
(注:楽天などで調べると、サージカルマスクにN95とつけて販売しているものがありました。あれは詐欺と言われても仕方ない……。一般的なサージカルマスクの形状では横の隙間から空気が入ってくるので意味がありません。注意してください)


じゃあどうするか。
これは「ワクチンをうけて抗体を作る」しか感染と流行を防ぐ手段はありません
ワクチンは自費になります。MRワクチンであれば数千円かかります。
正直、政府なり厚労省なりが無料化か補助金出して欲しいと思うのですが、はっきり言って期待できません。というか、流行前には間に合うような対策をうてないと思います。
感染した場合、仕事をしている人なら数週間の就労機会の喪失が考えられます。
入院加療となれば、給料なんかの比ではない金が吹き飛びます。
死亡となれば……?
そう数千円で命がかえるかもしれません。

お願いいたします。ここはケチるところではありません。
ワクチンを、受けてください。
特にワクチン接種歴が不明の人、1回しか受けてない人。抗体価を調べるまでもなく接種していいと思います。
2回打ってるけれど、麻疹患者さんと接触する可能性の高い業種の方(医療系)、家族に乳児、妊婦さんのいる方はできれば抗体価を調べて欲しいです。
過剰診療と言われるかもしれませんが、本当に流行してからでは遅いのです。
正直、政府はあてになりません。というか、制度がととのうのを麻疹ウイルスは待ってくれません。

私たち一人一人の力で、流行をなんとか防ぎましょう。
数ヶ月経って
「あんなに騒いでたけど、全然流行らなかったじゃん。急いで高い金払ってワクチン打ったけど、馬鹿馬鹿しい、踊らされたわ」
となれば、私の目論見は成功です。
それでいいんです。
その流行を防いだのは、そんな憤慨をしているあなた自身の功績です。


もし麻疹患者さんと接触した方は、すぐに病院へ連絡してください。接触後72時間であれば、ワクチン接種で発症を防げる可能性があります。
また、数日以内であれば確率は下がりますが免疫グロブリン療法で発症を防げる可能性があります。
接触後、発や鼻水といった風邪のような症状が出た場合は、直接受診せず、まず病院に電話をして事情を説明してください。他者への感染を防ぐため、そのまま歩いて外来受診することは絶対にしないでください。



その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。

参考サイト
http://www.nih.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2262-iasr/related-articles/related-articles-410/4595-dj4104.html

(記事は下に続きます)
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