麻疹速報グラフ(国立感染研究所)37週(9/27更新分)を読む

国立感染研究所の麻疹速報グラフが更新されました。
37週とそれまでの集計で、2016年9月21日までの分です。
詳しいグラフはこちら。
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/diseases/measles/measles2016/meas16-37.pdf

1週間で21例増加しています。(それにしても毎度週別麻疹報告数のグラフが毎週変わるのはなぜなのか)
劇的な増加はありませんが、まだ流行は広がる余地があります。
このままいくと、また数年前の麻疹の患者数に追いつきそうな勢いです。折角麻疹排除状態になったのに……

内訳は、大阪11例、東京3例、和歌山2例、神奈川2例、奈良1例、埼玉1例、兵庫1例です。
流行していることを踏まえて検査しているからか、修飾麻疹例が増えているように感じます。逆に流行していない地域で修飾麻疹例が出ていても、気づかずに報告されていない可能性も感じます。


予防接種歴も出ています。
今年に入ってからの集計になりますが、接種なし35人、不明43人、接種1回34人、接種2回18人。今週の症例は、接種1回の人が多かったようです。修飾麻疹例が比較的多いのも、ここが関係しているのかなと思います。
(予防接種をしているのに感染している人がいる理由はこちらをどうぞ。「麻疹のワクチン(予防接種)を受けていても感染・発症するのはなぜか」)。

年齢内訳をみると、20〜29歳が40%、続いて30〜39歳が22%と、20代後半〜30代の感染者が6割以上を占めています。これは予防接種の制度の問題で、1回接種が多い世代です。やはりこの年代が一番感染を受けやすい状況にありますが、それにしても多い。
特に、妊娠・出産の機会の多い世代でもあります。妊婦さんに感染すると、流早産の危険性が高まり、母体も重症化することが知られています。
ぜひ、予防接種歴を確認し、特に予防接種歴がない方、不明の方は積極的に医療機関にお問い合わせください(とにかく予約を入れましょう)。


大阪を中心に、じわじわと麻疹の流行が起きていると考えた方がいいでしょう。東京で3例報告されているのも、人口密度を考えると今後の流行が懸念されます。
そろそろメディアが飽きてきて、報道される回数が減ってくる頃かと思います。
ニュースで取り上げなくとも、特に自分の県や旅行先の流行状況はキャッチ出来るように、地域の感染症のホームページなどに注意を払うようにしてください。

それにしても、本当に行政が動く気配が感じられません。MMRワクチンの緊急輸入とか検討しているんだろうか……流行を防ぐつもりがあるんだろうか。
流行を防ぐには、麻疹の免疫をもつ人を増やすしかない=流行地及び全国の予防接種率をあげるしかないのになあ……


その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。

(記事は下に続きます)
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