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2014年11月20日木曜日

「離乳食は白身魚から」の理由は? 赤身魚、青魚はダメなのか?〜ヒスタミン中毒の話〜

どの離乳食の本を見ても「魚はまず白身魚を」「鯛や鱈、カレイなど」といった風に書かれています。
なぜか。
と思いました。
赤ちゃんが母乳だけでは鉄分不足で貧血になりがちであることを考えると、鉄分を多く含んでいる赤身魚を食べる方が理にかなっています。また、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったn-3系多価不飽和脂肪酸は青魚に多く含まれていますので、摂取が推奨されるでしょう。
それなのに、あえて白身魚を食べさせる理由はなにか。

で、これに確かな答えは多分ありません。昔からそうされてきたから、という「先人の知恵」「経験則」というのが恐らく一番の答えだと思います。
が、医学的に考えて一つ思いつくのは、アレルギーの問題です。

正しく言うなら、アレルギーではなく「食中毒」です。

アレルギーについてざっくり説明

アレルギーが何故起こるのか、という話をすると非常にややこしくなります。
今回の話につながるように非常にざっくりと簡単に説明すると、
「身体の中でいろいろ反応が起こって、ヒスタミンという物質ができて、このヒスタミンのせいでじんましんが出たり、鼻水が出たりする」
ということになります。うわー、本当にざっくりだ。
よく鼻炎や鼻風邪に使う「抗ヒスタミン薬」というのは、このヒスタミンを抑えることで、鼻水を止めるわけですね。
では、身体の外からヒスタミンを与えたらどうなるでしょうか?
答えは簡単、「アレルギーのような症状を起こします」です。

魚とヒスタミンの思わぬ関係〜ヒスタミン中毒〜

で、ここで出て来るのが赤身魚(多くの青魚)。
カジキ、ブリ、まぐろといった赤身魚には、ヒスチジンと呼ばれるアミノ酸を多く含みます。
このヒスチジン、大切なアミノ酸ですので、決して悪いものではありません。
ところが、ヒスタミン産生菌というものがありまして、この菌の働きによって、ヒスチジンはヒスタミンに変化してしまいます。
魚が釣られてから、時間が経てば経つほど、低温であっても(常温で働く菌が多いですが、低温でも活動する菌がいます)、菌は頑張ってヒスタミンを作り出します。
こうなると、ヒスタミンは熱ではそうそう変化しませんので、魚を煮ようが焼こうが、食卓に並んだ時にはヒスタミンたっぷりの状態。それを食べれば、当然、アレルギーそっくりの症状を起こすことになります。
じんましんを起こしたことがある人は、病院で「古くなったサバやアジとかの青魚を食べませんでした?」とか聞かれたことがあるかもしれません。これはこういった理由によります。
ですので、アレルギーとそっくりの症状ではありますが、あくまでも「食中毒」です。
同じ魚を食べたとしても、新鮮な魚であればヒスタミンはありませんから、アレルギー症状は起こしません。
「前にサバを食べたら全身が痒くなって、アレルギーだって言われたけど、この前サバを食べちゃったんだけどなんともなくて大丈夫だったんだよね」
という方がいたら、もしかしたらヒスタミン中毒だったのかもしれません。

ヒスタミン中毒について、東京都福祉保健局がわかりやすくまとめてくれていますので、興味のある方はどうぞ。
魚を食べたら、じんましんが・・・ ~ヒスタミンによる食中毒~ |「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

離乳食と仮性アレルゲン

さて、前置きが長くなりました。
離乳食に話を戻します。
新鮮だと思って買って来た赤身魚があったとしましょう。
それで離乳食を作製します。
ところが、実はあまり新鮮ではなく、ヒスタミン満載の魚であったとします。
それを食べた赤ちゃんは、当然アレルギーの症状を起こすでしょう。
そうすると、果たして魚のアレルギーであったのか、それとも食中毒だったのかわからなくなってしまいます。ヒスタミンは仮性アレルゲンなどと言われることもあるくらいです。
これは非常に紛らわしい。
ですので、「離乳食は白身魚から」、というのは、ヒスタミン中毒を起こしにくい白身魚からはじめましょう、という理由があるのではないか? と思います。

白身魚なら安全なのか?

ところが、ここでもう一つ。
白身魚でも、量は少ないですが、ヒスチジンをもちろん有しています。
そうすると、白身魚でも保存が適切でなければ、当然ヒスタミン中毒を起こすことになります。
特に遠方で穫れて冷凍したものなども多いので、冷凍前にヒスタミンが増えていたり、冷凍状態が適切でなかったり(温度が一定以下でなかったり)、解凍時に常温でゆっくり解凍したりする間にヒスタミンが増えてしまう可能性があります。
ですので、「白身魚なら大丈夫」というのは間違いです。
ちなみに、鮮度の落ちた冷凍・冷蔵タラなどは意外とヒスタミン中毒を起こしやすいとして知られています。


逆を言えば、赤身魚、青魚の類であろうとも、新鮮で保存状態のよいものであれば、離乳食に使うことはできますし、むしろ栄養素を考えた場合、積極的に摂るべきであると私は考えます。
ですので、私はここで一つ提唱したい!
離乳食には、新鮮な魚を使うこと。白身魚が好ましいが、古くなった白身魚を使うくらいであれば、新鮮な赤身魚を積極的に使いましょう
です。
基本的に、「刺身用」→「焼き魚用」「煮魚用」の順に、鮮度が落ちていますので、刺身用の魚を買い、保冷剤入りの保冷バッグなどで持ち帰って、すぐに調理して使用、というのがベストではないかと思います。
もちろん、加熱用の魚でも、通常はヒスタミン中毒を起こすような状態で販売されているわけではないので(そんな食中毒をしょっちゅうだしていたら、店が潰れます)、よさげな魚をチョイスし、きちんと調理すればよいと思います。そもそも生食(刺身)向けでない魚もありますしね。
かくいう私、そこまで気をつけていません。刺身用の魚をささっと持って帰ったら、冷蔵庫に放り込み、当日中に調理する、くらいしかしていません。しかも、調理後冷凍保存しています(加熱調理して保存したものであっても、もしヒスタミン産生菌によって汚染されていた場合、ヒスタミン中毒の可能性はある、と思います。これについては調べたけれど、文献を探せませんでした。すいません)。

他にも、魚はビタミンDの宝庫ですので、白身赤身に関わらず、どんどん摂取することが推奨されます。
美味しく安全に、離乳食をすすめていきましょう!
(もし記事を読んで、「役に立った。よし、これ書いたやつにコーヒー1杯くらいおごってやろうか」などと思ってくださった方は、noteからサポートなどしていただけたら幸いです。シェアも大歓迎です)
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